ヌートバーが即オープン戦出場 同点のホームインに美技 大谷翔平と交わした約束を胸に今季の奮闘を誓う

スポーツ報知
フロリダ州ジュピターでカージナルスのキャンプに合流したヌートバー(カメラ・一村 順子通信員)

◆米大リーグオープン戦 カージナルス1―1ヤンキース(23日・米フロリダ州ジュピター=ロジャー・ディーン・スタジアム)

 侍ジャパン優勝メンバーのカージナルズのラーズ・ヌートバー外野手(25)が23日(日本時間24日)、フロリダ州ジュピターのキャンプに合流。即、ヤンキース戦で「7番・左翼」で先発。1打数無安打1四球1得点で、6回を終了して交代。ヌートバーは0―1で迎えた5回に四球で出塁、エドマンの左前安打で二塁から同点のホームイン、左翼守備ではランニングキャッチなど好守を連発。WBCの疲れもなんの、再合流で早速、侍ジャパンでみせた持ち味を発揮した。

 世界一の余韻に浸る間もなく、侍ヌートバーがキャンプ復帰戦で持ち味をみせた。1点を追う5回1死フルカウントからの7球目。低めのスライダーを見送り、しぶとく四球を選んだ。WBCで発揮した選球眼を発揮すると、続くウィンの死球で二進。2死後エドマンの左前打で俊足を飛ばして本塁を陥れた。2回には左翼に切れるフライをランニングキャッチ。ヒットこそなかったが、WBC仕込みの仕上がりの良さをアピールした。

 「WBCのナイターからのデーゲームで少し感覚は違ったが、試合に出れてよかった。ピッチクロック(投球時間制限)で試合の進行が早く感じたが、対応できたと思う。WBCの経験は、シーズンに備えるという意味で効果があったと思うし、開幕の準備は整ったよ」

 歓喜の優勝から約50時間。ジュピターの本拠地球場でヌートバーが選手紹介されると、客席からひときわ大きな歓声が上がった。「ヌー!」「おめでとう!」。米国を破っての優勝だったが、米メディアでもヌートバーの「シンデレラ・ストーリー」が報じられ、カージナルスファンから祝福を浴びた一方、メジャー3年目の今季は、勝負のシーズンでもある。

 「何も約束されたわけじゃない。ポジションを勝ち取るため、日々が競争。1日1日を大事に日々向上を目指すことは変わらない。今はここに戻って集中する時。しっかり練習を積んで、シーズンを迎えたい」と、浮かれた様子は微塵もない。

 背景にあるのは、大谷翔平との男の約束だ。チームを離れる前、大谷からプレゼントを受け取った。日本の最高級ブランド「グランドセイコー」の腕時計。ただし、そこには大谷らしく茶目っ気たっぷりの「条件」があった。「もし、2026年に(WBCに)戻ってこなかったり、他の国を代表したりしたら、贈り物を返してもらうからね、と言われたんだ。そのことは、実質的に合意の握手であると僕は理解しているよ」

 3年後のチーム再結成の契りを結んだプレゼント。単なるチームメート以上に絆を深めた大谷との約束を果たすためには、公式戦で結果を出し、選考に値する結果を出し続ける必要がある。

 「日本代表以外でWBCに出ることはないと思う。あの経験を通して、選手、コーチ、スタッフ、そして、日本という国との強い絆を感じた今、もう他の国の代表選手にはなれません。3年後に選ばれた時には、もっと日本語を話せるようになっていたい。チームメート、監督、コーチらスタッフ、信じられない程、良くしてくれたみんなに感謝している。翔平とは、親友になれたと思うし、彼もそう思ってくれたらうれしい。もうすでに、彼が恋しいよ」

 3月30日(同31日)の開幕戦(対ブルージェイズ)まであと1週間。今度はメジャーの公式戦に舞台を移し、ヌートバーのサクセス・ストーリーの第2章の幕が開く。

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