第95回記念センバツ高校野球大会は23日、雨天のため、予定されていた2回戦3試合が今大会初の順延となった(決勝は4月1日)。出場予定だった6校は甲子園の室内練習場で調整。春初Vを狙う履正社(大阪)は、OBで侍ジャパンの山田哲人内野手(30)=ヤクルト=のWBC優勝に発奮。その先輩から現部員51人全員へのランニングシューズ差し入れの申し出もあり、チームのボルテージは最高潮で、24日の高知との初戦へ臨む。
憧れの先輩が世界一メンバーとなり、履正社ナインの士気が、さらに高まった。中学時代の所属チームも山田と同じ「兵庫伊丹」の主将・森沢拓海遊撃手(3年)は「自分など、山田さんに憧れて履正社に入った者は多い。流れに乗って、甲子園で攻める野球ができたらいい」と意気込んだ。
WBC決勝・米国戦は、全体練習のため見られなかったが、練習後に多田晃監督(44)から日本Vの吉報を知らされた。1点リードの9回無死一塁の守備で山田が二ゴロ併殺を完成させたことなどを伝え聞き、ナインは歓喜に沸いた。
山田からはセンバツ出場を決めた後輩にシューズを送る申し出があった。諸事情で到着は大会後となるが、19年夏以来の甲子園Vを果たせば、最高の“お祝い”となる。山田の在校時にコーチだった多田監督が世界制覇祝福のLINEを送ると「(甲子園)頑張って下さい」と返信。聖地初采配となる指揮官は「山田も頑張ったんで、みんな頑張ろうや」と鼓舞した。
森沢主将は「前の塁を狙う姿勢をみせたい」と山田同様の貪欲さを意識。「目標は圧倒的に勝って日本一。全てのチームを圧倒したい」。出場を決めていた20年センバツがコロナ禍で中止となった先輩らの思いも背負い、世界で勝ち残った山田から勇気をもらい、履正社ナインが目の前の高知打倒に向かう。(田村 龍一)