WBCで14年ぶり3度目の世界一に輝いたメジャー勢を除く侍ジャパン一行が23日、帰国した。成田空港には約1200人のファンが集結。決勝の米国戦で本塁打を放った巨人・岡本和真内野手(26)は尊敬する大谷翔平投手(28)らと世界の頂点に立った経験を生かし、チームを自身初の日本一に導くことを宣言した。またヤクルトの村上宗隆内野手(23)は、3年後の次回大会で今回果たせなかった「全試合4番」の目標を掲げた。
到着ゲートをくぐると、数え切れないほどのファンの姿が目に飛び込んできた。世界一を勝ち取った岡本和ら侍ジャパンのメンバーを約1200人のファンが大歓声で迎え入れた。
「とんでもない世界一を経験させてもらった。勝つというこの感動を今度は僕が主将を務めるチームで味わいたいと強く思いました」
世界一の次はまだ経験したことのない日本一へ―。巨人軍新主将として臨む今季への思いが膨らんだ。
昨年カタールW杯から日本代表が帰国した時の650人の約2倍のファンが集結。操縦席に日の丸が掲げられたチャーター機は放水アーチで出迎えられた。空港側が依頼した警備は60人にものぼり、報道陣も200人以上のフィーバーぶり。到着後は成田市内のホテルで会見し「マジで(決勝の)ゲームセットになった瞬間が、何よりも印象に残っています。野球ってこんなに面白かったんだなと」と興奮気味に話すと、3年後の次回大会も「いやもう1回野球したいですね」と出場を目指すことを明言した。
憧れの大谷翔平からリーダーシップの大切さを学んだ。大谷には投打でのプレーはもちろん、打撃練習から度肝を抜かれ「自分ってすごくちっぽけだなと感じて、もっと頑張ろうと思いました」。だが、それだけにとどまらず決勝戦前のロッカールームでは「相手に憧れるのをやめましょう」と、チームを奮い立たせた。プレーでも、言葉でも、仲間を勇気づける紛れもないリーダーに「追いかけるべき人でありながら、投打においてあり得ないようなことをやっている。常にモチベーションが保たれて、僕らも野球に取り組めている」と刺激を受けた。
キャラクターこそ違うが、自身も大谷のようにチームを勇気づける存在になろうとしている。昨年の秋季練習から目に見えて分かるほど引き締まった体を作り、宮崎キャンプ中の強化ランニングではチームの先頭を走った。後輩の増田陸や広岡らに打撃について助言するなど、グラウンド内外で頼もしさを増している。
24日の楽天とのオープン戦(東京D)には出場しないが、チームには合流。休む間もなく、11年ぶりの日本一を目指す戦いが始まる。
「頑張ります。そして期待してください」
世界一を勝ち取った若大将が、今度は巨人を頂点へと導く。(井上 信太郎)