渡辺徹さん著書刊行 長男・渡辺裕太「父の人柄、ユーモアあふれる生き方にクスッと笑って」…急死から4か月

スポーツ報知
役者としての夢は「朝ドラ出演。前向きに挑戦したい」と語る渡辺裕太(カメラ・頓所 美代子)

 昨年11月28日に敗血症のため亡くなった俳優・渡辺徹さん(享年61)の活動の軌跡を追った著書「すべては出会い 渡辺徹の愛され人生」が、28日に刊行される。生前の講演会の記録などから徹さんの生き方、考え方に迫った同書。同日のお別れの会(東京・グランドプリンスホテル新高輪)を前に、長男の渡辺裕太(33)が取材に応じ、訃報から4か月たった現在の心境、尊敬する父について語った。(加茂 伸太郎)

 突然の別れから4か月、裕太は「父は、まだどこかにいるんじゃないかな」と懐かしむ。「映像や携帯に残っているメッセージを見返したけど、まだ受け入れられていないというか。実感が湧かないです。老いていく姿を見たわけじゃなく、(容体が急変して)認識する時間もないまま(父の死という)覚悟を決めないといけなかった。日常に戻った今の方が、逆に(心の)整理できていないかもしれないですね」

 役者だけでなく、歌手、タレントとしてマルチに活躍した徹さん。同書では講演会、文学座代表で先輩俳優の角野卓造(74)との対談などの膨大な記録から、俳優になったきっかけや仕事から学んだこと、様々な出会い、家族への思いなどが、徹さんの語り口調で編集され、つづられている。

 裕太は「家族に、昔話として話してくれた笑い話を(本の中でも)話している。誇張していますけどね(笑い)。父親のしゃべり口調なので、生き返ったかのような、僕のそばで話しかけてくれているような不思議な感覚でした」と感慨深げ。「人を楽しませようとする父の人柄、ユーモアあふれる生き方に触れてクスッと笑ってほしい。温かい気持ちになってもらえたらうれしいです」と話した。

 改めて感じる偉大さ。最近は「父ならこのエピソードをどう書くかな?」と思い返す機会が増えた。「同じ生活をして、同じ出来事に遭遇しているのに切り取り方が全然違う。ブログを見ても『そういう山場の作り方をするんだ』『そういうフリを入れるんだ』と、ちゃんと構成が考えられていて。勉強になります。人を引き付ける(巧みな)話術も学びたかったですね」

 14年から日本テレビ系「news every.」(月~金曜・後3時50分)の中継リポーターを担当。昨年10月からはテレビ岩手「5きげんテレビ」の金曜メイン司会に就任し、活躍の場を広げる。

 「自分がやりたくても、呼ばれないと成立しないのがこの仕事。『every.』は(9年間)積み上げてきたものがあるので、大切な番組です。呼んでいただける限りは続けたいです。番組で学んだことを土台に、『5きげんテレビ』で応用できている。いただいたお仕事をしっかりとやること。その積み重ねが枝葉となってつながっていく。今は人に伝える仕事を有意義に感じているので、一生懸命やっていきたいです」

 事あるごとに、周囲からは「母親(の女優・榊原郁恵)のことを支えてあげてね」と声を掛けられ、「渡辺家の男性の中でトップになったので、しっかりしないといけない」と自覚も芽生えてきた。

 「父親は体の不調はありましたけど、常にポジティブで(息子の前では)一度も仕事の弱音を吐いたことはなかった。すごいなって思いますね。一般の方には、二世タレントで『every.』の裕太くんという印象が強いと思うけど、役者やMCなど別の姿も見てもらいたい。前向きに続けていきたいです」

 ◆渡辺 裕太(わたなべ・ゆうた)1989年3月28日、東京都出身。33歳。2009年に舞台初出演。12年から「劇団ポップンマッシュルームチキン野郎」所属。16年から日テレ系「所さんの目がテン!」実験プレゼンター。映画「メグライオン」「アクトレス・モンタージュ」に出演。特技はパスタ作り、ゴルフ、野球、遠泳、けん玉。資格は野菜ソムリエ。173センチ。

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