24日の金曜ロードショー(後9時)は「ピーターラビット2/バーナバスの誘惑」(2021年)を地上波初、本編ノーカットで放送。100年以上前から全世界で愛されているビアトリクス・ポターが書いた英国の児童書を原作にし、18年に公開された実写作品の続編となっている。
前作の最後で、めでたく結ばれたトーマスとビア。ある日、自分を母親のように慕ってくれるウサギのピーターとその仲間たちを描いたビアの絵本が出版社の目に留まる。
一方、ビアに連れられて街に出たピーターは、亡くなった父の友人だったというバーナバスと名乗るウサギと出会う。バーナバスに父の姿を重ねたピーターは、彼が計画する人間からの「食物強奪作戦」に仲間を誘って参加するが、裏には隠された計画があった。そんな中、編集者の巧みな誘い文句に乗せられたビアは、トーマスの心配をよそに、描きたいと思っていたピーターたちの物語から離れていく…。
日本でも絵本だけではなく、「キューピーマヨネーズ」のCMなどのタイアップで、そのビジュアルを見たことない人はいないであろう「ピーターラビット」。ただ、その物語の内容まで知っている人はどれくらいいるだろうか。実は児童書が「原作」とされているが、映画はピーターを始めとしたキャラクターを借りてきているだけで、性格も異なるほか、ストーリーに関していえば、ほぼオリジナルとなっている。
1作目こそ、「ピーターの父はマクレガーじいさん(トーマスの大叔父)に捕まってパイにされるが、言いつけを聞かずにピーターもマクレガーじいさんの畑に忍び込む」という点では絵本の第1弾「ピーターラビットのおはなし」を下敷きにしていると言えるかもしれない。だが、トーマスとビアは原作にはいないキャラクター。ビアは名前からも分かるように、原作者のポターにちなんだものだ。むしろ、彼女が近くに住むウサギを見て絵本を作るまでの物語という意味では、「エピソード0」に近いかもしれない。では続編の本作は?
こちらは、「ドリフ大爆笑」の「もしもシリーズ」ではないが、「もしもピーターが街に出掛けたら」「もしもポターが金に目がくらんだら…」の2つの「もしも」を合体させたパラレルストーリー。原作を好きであればあるほど「ふざけんな!」と思うかもしれない。とはいえ、やはり絵本の世界だけでは話を膨らまたり、幅広い世代に楽しんでもらえる物語にしたりというのは難しいもの。「これはこれ」と割り切り、コメディー作品として純粋に笑ってもらいたい。(高柳 哲人)