高野秀行六段、「藤井の桂」鮮やか。二段跳ねには大谷選手のホームランを見たときにも似た興奮

スポーツ報知
渡辺明前棋王(左)に勝利し、感想戦で対局を振り返る藤井聡太新棋王

 将棋の渡辺明棋王(38)=名人=に藤井聡太五冠(20)=竜王、王位、叡王、王将、棋聖=が挑戦した第48期棋王戦五番勝負第4局が19日、栃木県日光市の「日光きぬ川スパホテル三日月」で指され、後手の藤井が132手で勝ち、3勝1敗で棋王位を初獲得した。この一戦を高野秀行六段が解説した。

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 すごい激戦としかいいようがない一局でした。序盤は渡辺さんの作戦で、前に出ていこうという気持ちがすごかった。細かくつないだ攻めを、藤井さんが細かく防御して、最後流れを押し戻しました。渡辺さんじゃなければ藤井さんはここまで追い込めないし、藤井さんじゃなければ渡辺さんの攻めを受けきれなかったと思うんです。

 あと、渡辺さんがこんなに早い段階(58手目からの銀桂交換)で駒損したのは見たことがない。バランスを取るタイプなので。それでもやっぱり前に前に出ていこうという姿勢っていうのは、変えていかなきゃ勝てないというのがあったのではないかとも思いました。

 最後はやっぱり“藤井の桂”ですな。鮮やかでした。桂馬が5筋に2枚並び、それがぴょんぴょんと跳ねてきた。自陣に打った後方の桂馬が二段跳ねした光景は、WBCの大谷翔平選手のホームランを見たときにも似た興奮を覚えました。私の師匠・中原誠は“中原の桂”と言われましたが、藤井さんは歴代のレジェンドと肩を並べる桂馬の使い手です。

 2人ともめちゃくちゃ強い。次は名人戦ですが、渡辺さんも十分に次の戦いのポイントが見えたような気がします。(談)

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