【尾車親方の目】翠富士を「令和の鷲羽山」と呼ぶべきか 小兵のお手本「前への圧力」見せた

スポーツ報知
小兵力士として人気を博した鷲羽山

◆大相撲 ▽春場所8日目(19日、大阪・エディオンアリーナ大阪)

 西前頭5枚目・翠富士が自身初のストレート給金を決め、単独トップの座を堅持した。東同9枚目・碧山を寄り切り。横綱、大関が昭和以降初めて不在となる異常事態の中、幕内で一番の小兵が大きな存在感を放っている。

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 もう“令和の鷲羽山”と呼ぶべきか。171センチ、117キロの翠富士が大きな碧山のかち上げにひるむことなく前に出た。強烈な突っ張りを下からはね上げ、左上手を取って右からの突き落とし。碧山の体を泳がせると両まわしを取って拝むように前に出た。小兵の参考書のような相撲だった。

 今場所は体が動いて次から次へと技が出ている。前に出て引いて横に動いて前に出る。昨年の名古屋場所で10勝を挙げてから幕内上位に定着。原動力は前に出る力が強くなったことだ。174センチ、110キロの元関脇・鷲羽山さんの武器も前への鋭い出足だった。小兵の前への圧力ほど厄介なものはない。前に出るスピードが上がれば、翠富士に“令和の鷲羽山”のお墨付きをあげることはできる。

 おもしろい後半戦だ。翠富士には三役との対戦が待っている。どの力士もチャンスだと思っているはずだ。優勝を占ってほしいと言われても、分からないと答えるしかない。(尾車親方=元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

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