【巨人】田中千晴 1軍初登板「緊張しすぎて」ズッコケ…のち1回ピシャリ 開幕1軍急浮上

6回から登板する2番手・田中千晴(カメラ・竜田 卓)
6回から登板する2番手・田中千晴(カメラ・竜田 卓)
7回から登板した、3番手・松井颯(カメラ・竜田 卓)
7回から登板した、3番手・松井颯(カメラ・竜田 卓)

◆オープン戦 巨人0―4日本ハム(19日・東京ドーム)

 巨人のドラフト3位・田中千晴投手(22)と育成1位・松井颯投手(22)が、19日の日本ハム戦で1軍初登板した。6回から登板した田中千は1イニングを無安打無失点。7回から登板した松井は2ランを浴びたが、1回2奪三振と能力の高さを示した。この日は両者とも“お試し登板”の位置づけだったが、試合後に1軍帯同が決定。ともに150キロ超の剛腕2人が中継ぎで開幕1軍争いに参戦する。

* * * * *

 緊張のあまり頭が真っ白になった。1点ビハインドの6回。一塁ベンチを勢いよく飛び出そうとした田中千は「もう一段あった」と段差でつまずき、地元・大阪の吉本新喜劇のネタばりにずっこけた。「もう、緊張しすぎて…。恥ずかしかった」。阿波野投手チーフコーチも心配顔。だが、その後。右腕は2万6475人の観衆の前で無双した。

 先頭の今川に対して初球から2球連続で大きく外れるボール。それでも「自分の気持ちが入っていない感じがした」と冷静に自己分析し、3球目から闘争心のギアを上げた。フォークで空振り三振に抑えると、昨季の首位打者・松本剛は二ゴロ。野村は三ゴロに斬った。最速151キロの直球とフォークの2球種で中軸をねじ伏せた。

 今春の2軍キャンプではウェートトレに重点を置き、体重は入団時から約4キロ増えて現在は90キロ前後。常時150キロ前後の直球を操れるようになった。試合後は、同じ大阪・堺市生まれの小林からプレゼントされた「Seiji」と刻まれたアンダーシャツを着て登場。「今日は抑えられたけど、ちゃんと次を見てやろうと思います」と引き締めた。

 7回から登板した育成右腕の松井は「今までの試合で一番緊張した」と1死二塁で上川畑に2ランを浴びたが、万波と宇佐見から三振を奪った。最速152キロの直球と多彩な変化球で完成度の高さを実証。原監督も「一つ一つのボールは非常に可能性を感じさせる」と両右腕を高く評価した。

 2人は“腕試し登板”で首脳陣の目に留まり、1軍帯同継続が決定。「そのまま戦力になるかは本人次第」と阿波野コーチは期待を込めた。現状、1軍で150キロ超の直球を武器とする中継ぎ右腕はロペスと堀岡のみ。昨季53登板の平内は右肘手術からリハビリ中で、49登板の鍬原も2軍調整中。右のパワー系リリーフが手薄な中、田中千と松井は救世主になり得る存在だ。(中野 雄太)

 ◆村田真一Point

 田中千、1軍初登板とは思えないほど良かったね。150キロ超えの真っすぐに角度があるから、フォークが生きる。実際にこの試合でも落差の大きいフォークで三振を取った。三振を計算して奪える投手って貴重やし、真っすぐを磨きながら経験を積んでいけば、将来は大勢と8、9回を任せられる可能性も感じたよ。オリックスの宇田川のようになれるとええよね。松井も一発打たれたけど150キロ出て、多彩な変化球がある。田中千とタイプは違うけど楽しみな投手よ。

 ◆田中 千晴(たなか・ちはる)2000年9月21日、大阪・堺市生まれ。22歳。浪速では甲子園出場なし。国学院大2年秋に右肘を痛めて4年春に復帰。東都大学リーグ通算12登板2勝2敗、防御率2.43。22年ドラフト3位で巨人入団。189センチ、85キロ。右投右打。背番号48。

 ◆松井 颯(まつい・はやて)2000年9月14日、東京・清瀬市生まれ。22歳。花咲徳栄では同級生の日本ハム・野村と3年夏に甲子園出場。明星大4年秋に首都大学リーグ2部でトップの防御率0.97。22年育成ドラフト1位で巨人入団。178センチ、83キロ。右投右打。背番号021。

試合詳細
6回から登板する2番手・田中千晴(カメラ・竜田 卓)
7回から登板した、3番手・松井颯(カメラ・竜田 卓)
すべての写真を見る 2枚

巨人

個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請 報知新聞150周年