◆WBC2023 ▽準々決勝 米国9―7ベネズエラ(19日・ローンデポ・パーク)
WBCの準々決勝最後の試合が18日(日本時間19日)、米フロリダ州マイアミで行われ、スター軍団の米国が、快進撃を続けていたベネズエラに15安打9得点で逆転勝ちした。2点を追う8回に「9番・遊撃」で先発したフィリーズのT・ターナー内野手(29)が逆転の満塁本塁打。19日(同20日)にキューバと準決勝を戦い、侍ジャパンとは21日(同22日)の決勝で対戦する可能性がある。
スタメン9人の総年俸268億円の強力打線が、壮絶な打撃戦をもぎ取った。2点を追う8回無死満塁。米国の「恐怖の9番」ターナーが、2ストライクから左越えへ逆転グランドスラムを放り込んだ。自国開催ながらベネズエラ・ファンの声援の方が上回る異様な空気をひと振りで吹き飛ばした。「後ろ(1、2番)にベッツとトラウトがいるので気負いすぎずに打席に入った。勝ったことが本当にうれしい」。優勝候補を救ったヒーローは感無量の表情だった。
C組は2位通過だったが、「死の組」D組を全勝で1位突破したベネズエラを地力でねじ伏せた。1回表は先頭のベッツ(ドジャース)から圧巻の5者連続安打。あっという間に3点を先制した。4、5回にも1点ずつを加え、5回に一度は逆転を許したが、8回に満塁弾でひっくり返した。15安打9得点。デローサ監督は「私がこれまで関係した試合で最も素晴らしい。ターナーが打った時、選手35人とコーチたちの意識が一瞬、ぶっ飛んだ」と興奮しきりだった。
遊撃のターナーは2年連続20発超でメジャー通算打率3割2厘。MLB最多タイのサイクル安打3度を誇る好打者が9番に座る打線はド迫力だ。一方で、投手陣はこの日も不安を露呈。先発のリン(Wソックス)は初回にアラエス(マーリンズ)に2ランを浴び、瞬く間に1点差に迫られた。2番手のバード(ロッキーズ)は1死も奪えず4失点。5戦11失点の日本に対し、米国は23失点と“打高投低”が数字に表れている。
19日(日本時間20日)の準決勝・キューバ戦は通算195勝の41歳右腕・ウェインライト(カージナルス)が先発予定。侍ジャパンと対戦する可能性がある21日(同22日)の決勝は、元巨人のマイコラス(カージナルス)らの登板が見込まれる。銀河系打線と世界屈指の侍投手陣。最高の矛・盾対決は実現するか。(安藤 宏太)