◆明治安田生命J1リーグ第5節 京都4―1横浜FC(18日・ニッパツ三ツ沢球技場)
【横浜FC担当・田中孝憲=@sph_tnk】「恐れなければならない唯一のものは、恐れそのものだ」大恐慌に立ち向かった米大統領F・ルーズベルトの言葉を、今のチームに贈りたい。京都に4失点で敗れた。開幕2節までと比べると、4節以降は最初の失点後に「ガックリ」としている雰囲気を感じるのが気になっている。
* * *
先制点をアシストしたMF長谷川竜也は、大敗を悔しがる。「厳しいですね。何て言ったらいいかちょっと分からないくらいショッキングな結果」と険しい表情。「運が悪いとかではなくてシンプルに自分たちの実力がないから、この5試合は勝てていないんだな、と思っています」と危機感を口にした。
4失点のうち3点がセットプレーなのが、歯がゆいところ。先制ゴールのFW小川航基は「結果だけみればボコボコにやられた。チャンスは多く作れなかったけれどボールも持てて、これまでの課題に前向きに取り組めたかなとポジティブな材料もある」と話す。開幕からの5試合。勝てていないが、前節の課題に取り組み改善して、少しずつ成長している姿は見て取れる。だから、失点への「恐れ」を取り除きたい。4点取られると、さすがに5点取るのは難しい。
* * *
巻き返しへの共通認識がある。キャンプから取り組んだ、恐れずに「つなぐ」姿勢だ。ベテランのDF和田拓也は、自信を持ちリスクを負ってつなぐ大切さを説く。「攻めることで相手の攻撃の時に消耗させられれば落ちるだろうし、相手の攻撃の回数が減れば失点する確率も減る。1人がつなごうと思ってもつなげるものじゃない。全員がリスクを負わなきゃダメ」と力説した。
開幕からのチーム5得点のうち4得点のFW小川航も考えは同様だ。「失点するのは仕方ない。ボールを持つ時間を長くして、守備の時間を短くする。攻撃は最大の防御じゃないけど、そういう意識で取り組みたい」と力を込めた。
そして、どの選手も口にする言葉がある。「みんなでカバーすればいい」
イレブンが考える方向性は、バラバラになっていない。四方田修平監督は「しっかりと修正し、結果を出せるように準備をしたい。こういう時ほどチームで崩れず、一致団結してやるのが大事」と口にした。一つの白星で、好転する兆しはある。
選手の多くが入れ替わって迎えたJ1再挑戦の序盤戦は終わった。ルヴァン杯を挟んで、福岡、横浜FMとのダービー、広島との対戦が続いていく。小川航はリーグ中断期間に「どういうところが足りないかを全員が感じて、練習から取り組む姿勢を見せていかないといけない。本番のピッチで見せるためには、練習のグラウンドでどれだけ見せられるかにかかっている」と厳しさを求めた。
* * *
開幕前、私は「開幕5戦で見えてくるJ1の“降格方程式”」というコラムを書いた。05年以降で1ステージ制16季のうち13季で、年間最下位のチームは5試合消化時点で16位以下(21年は20チーム制で18位以下)に沈んでいた、という内容だ。単純に言うと「大逆転の魔法はあまりない」ということ。横浜FCの5試合が終わった。勝ち点1で最下位だ。
クラブの今季と来季の目標「J1定着」を達成するために、勝負の4月となる。中断期間での修正と上積みに期待したい。シーズンはまだ始まったばかりだ。