競泳男子平泳ぎで2004年アテネ、08年北京五輪2冠の北島康介氏が18日、東京・辰巳国際水泳場で行われた「東京都マスターズ」に出場。16年リオ五輪の選考会以来、自身約7年ぶりとなるレースで男子50メートル平泳ぎに臨み、29秒00だった。レース後は「練習していない割には、満足です。元気に泳いでいる北島康介を、もう一度見せることができてよかった」と笑顔で振り返った。
今月いっぱいでアイスリンクに改修される水泳の“聖地”辰巳。北島氏が会長を務める東京都水泳協会の呼びかけで、16年リオ五輪女子200M平泳ぎ金メダルの金藤理絵氏らオリンピアンが集結した。マスターズ大会では異例のレジェンドたちの泳ぎに、会場は熱気を帯びた。北島氏は「今日、午前中に辰巳に来てマスターズの方の熱い泳ぎを見ていたら、本当にこの辰巳を愛してくれていた人がたくさんいてくれたんだな、という気持ちになりました」と振り返った。
東京都出身の北島氏にとって、辰巳はジュニア時代から全国大会や合宿でも泳いだ思い出の地。17歳だった2000年4月の日本選手権100M平泳ぎでは1分1秒41の日本新(当時)で初の五輪切符をつかみ、08年8月には200Mで2分07秒51(当時)の世界新記録も樹立した。自身の数えきれいない栄光の中にも、「涙を飲む選手もたくさんいたのがこの辰巳」と北島氏。「プールの水の量くらい、涙でうまっているのがこの辰巳でもある。それがこの30年間だと思う」としみじみ語った。 この日は北島氏のレースを一目見ようと、プールサイドには出場選手がつめかけた。「まだ人気ありましたね」と、リップサービスも健在。マスターズスイマーの泳ぎに感化された様子で「マスターズで活躍していこうかな…冗談だけど」と、現役復帰宣言?も飛びだした。今後水泳の主要大会は、五輪会場でもある東京アクアティクスセンターに移る。北島氏は「聖地がなくなるのは寂しいけど、アクアティクスセンターで若い選手が新しい歴史を作っていってくれることを願っています」と、次世代へ期待を込めた。