りくりゅうの強さはシングルのトップ選手並み技術 世界フィギュアで日本初ペア金、グランドスラムなるか

スポーツ報知
三浦璃来、木原龍一組

 フィギュアスケートの世界選手権は22日、さいたまスーパーアリーナで開幕。ペア種目の“りくりゅう”三浦璃来(21)、木原龍一(30)組=木下グループ=がダブル快挙に挑む。同種目で日本初の金メダル、日本史上初の同一シーズンに主要国際大会を全て制すグランドスラム達成に期待がかかる。ペアの2014年ソチ五輪代表で、12年世界選手権銅メダルの高橋成美さん(31)が、りくりゅうの強さを解説した。(取材・構成=小林 玲花)

 今季出場した全ての試合で優勝し、快進撃が止まらないりくりゅう。高橋さんはすさまじい勢いで進化を遂げるペアの強さに、3つのポイント「個々の技術」「サイドバイサイド」「伸びしろ」を挙げた。

 最初に2人が滑った動画を見た時、完成度は非常に高くても正直、他ペアと比べて飛び抜けたものは感じていなかったんです。ただ、試合を重ねるごとに勢いが増し、(強豪の)ロシア、中国とは違った個性があると感じるようになりました。スケーティングスキルがトップのシングル選手並みに高く、まさに技術力の優れた2人によるエリートペア。三浦選手は「龍一君は絶対に落とさない」と言いますが、これを口にできるペアって実は少ないんです。木原選手はペアの男子選手としても信頼は100点。筋力がつくと、上半身を使って小手先で(女子選手を)持ち上げようとする男子選手も多い中、木原選手は脚の大きな筋肉を使っているので安定感が抜群です。基礎の積み重ねは世界一すごいと言い切れます。

 ペアはリフトが醍醐(だいご)味ですが、サイドバイサイドで、2人のスピードや手の角度がマッチしているかも見どころです。手が離れた状態で2人の動きを合わせること自体がペア種目で一番難しいところで、私も現役時代に最も苦労しました。ですが、りくりゅうはここが一番、秀でている。五輪以前の2人に足りないと感じていた部分がまさにそこで、粗削りな部分も見え隠れはしていましたが、今はマッチ度が格段に上がっています。ブルーノ・コーチは、私も指導を受けていましたが、本当に細かいところを毎日、口酸っぱく言ってくださる。飽きちゃうような、地味な練習をやり通せたペアが、トップに立てるんだと引退してから今さらのように気づきましたね(笑い)。「世界が憧れる日本ペア」が誕生したなと思います。

 2人はシングル選手としてもレベルが高く、ジャンプはもっと難易度を上げられると思います。三浦選手は軸の安定感があるので、いずれはスロー4回転も挑戦できると思います。世界選手権のライバルは昨年大会金メダルのクニエリム、フレイジャー組(米国)。おそらく一騎打ちになると考えられますが、今のりくりゅうには成長し続けているという最大の強みがあります。無限の伸びしろを秘めた2人は、26年ミラノ五輪でも、表彰台に上がる可能性が高いと思います。

 ◆サイドバイサイド 2人が隣り合った位置で同じ技を行うこと。高い技術を必要とし、距離が近いほど高く評価される。

 ◆ペア日本代表の世界選手権 22年大会に三浦、木原組が日本勢過去最高の銀メダルを獲得。12年大会では高橋成美、マービン・トラン組が銅メダル。過去、世界選手権での日本勢の表彰台は2度だけ。

 ◆グランドスラム 国際スケート連盟(ISU)が主催するシニアの国際大会で、GPファイナル、四大陸選手権(または欧州選手権)、世界選手権の3大会を同一シーズンで全て制すること。

 ◆三浦 璃来(みうら・りく)2001年12月17日、兵庫県生まれ。21歳。スケートは5歳から。15―16年シーズンからペアに転向し、市橋翔哉と組む。19年8月に木原龍一と新ペアを結成。幼少期に空手経験があり、得意技は回し蹴り。146センチ。

 ◆木原 龍一(きはら・りゅういち)1992年8月22日、愛知県生まれ。30歳。中京大卒。4歳からスケートを始め、シングルで10年全日本ジュニア2位、11年世界ジュニア男子代表。13―14年シーズンからペアに転向。五輪は高橋成美と組んで14年ソチ、須崎海羽と18年平昌、三浦璃来と22年北京に出場。174センチ。

スポーツ

個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請 報知新聞150周年
×