36歳の幼なじみコンビ「ハライチ」岩井勇気、澤部佑が作る唯一無二の「ぽかぽか」空気…ロングインタビュー

スポーツ報知
フジテレビ系「ぽかぽか」トリプルレギュラーMCのハライチの岩井勇気(左)と澤部佑は「ぽかぽかポーズ」で番組を盛り上げる(カメラ・佐々木 清勝)

 お笑いコンビ「ハライチ」が、1月からスタートしたフジテレビ系「ぽかぽか」(月~金曜・前11時45分)のMCとして新たな「昼の顔」を務めている。岩井勇気(36)、澤部佑(36)のマイペースな雰囲気と“予定不調和”な番組の魅力が、じわじわと支持層を獲得中だ。幼なじみからコンビを結成。少年から大人になる過程をともに過ごしてきた2人は「ずっと今が一番楽しい」と語る。(宮路 美穂)

 公開生放送のスタジオ。CM中やニュースの時間でも「ぽかぽか」の出演者は舞台袖に入らず、観客とおしゃべりしている。

 澤部「やっぱり、お客さんがいるというのが一番いいですよね。初めて帯をやらせてもらって、毎日のことですから、マンネリがあるんじゃないかと最初は心配をしてました。でもお客さんの前に出るとテンションが自動的に上がりますし、日によって、お客さんの感じも違う。我々もお客さんの前でライブをやって育ってきたので、やっぱり上がりますよね」

 岩井「3時間、CM中にしゃべってたらすぐに(番組が)終わるんでいいですよね。VTRの内容についてしゃべったり、暇つぶしというか…話し相手に付き合ってもらってる感じです」

 澤部「この間『何回か(会場に)来たことある人?』と聞いたら『6回』って。ちょっと応募が少ないんじゃないんですかね…」

 自虐的に笑うが、スタート以来、番組観覧応募の窓口となる「フジテレビクラブ」の会員数は飛躍的に増加。若年層を中心に、日増しに「ぽかぽか」の魅力が浸透している。日替わりゲストを招いての「ぽいぽいトーク」のほか、一家のお父さんが麻雀牌(マージャンパイ)を用いた手作りゲームにチャレンジする「心臓バクバク!ファミリープレッシャー」など、一般の視聴者が参加するコーナーもある。

 澤部「単純に、生放送に出るって緊張するじゃないですか。(視聴者の)緊張がいいですよね。ワクワクもドキドキも、すべて詰まっていて。大阪のスタッフさんにこの間、麻雀牌のコーナーでお父さんが成功したとき、定食屋の店内で『オーッ』となったと聞いた。そんなの聞くとめちゃくちゃうれしいんですよ」

 歴史あるフジテレビの昼の帯番組。「芸能を仕事にしている人にとって、昼の帯を持つというのは一種のあこがれの仕事だと思うんですが…」と尋ねると、2人は少し笑った。

 澤部「いやいや、めちゃくちゃすごいことなんですけど、芸人には昼の帯にあこがれてる人は多分、今そんなにいないですよ(笑い)。帯というより、バラエティーで番組をやらせてもらえるっていうのが一番うれしかったです」

 岩井「全く同じです。自分のプランとしては、昼の帯をやるようなタイプではなかったし、やりたいとも思っていなかった。でもこの先こんなオファーないだろうなって。拒否する選択もなかった」

 気負わず、肩の力の抜けた2人のやりとりに、フリーアナの神田愛花(42)の朗らかさがスパイスとなって、唯一無二の雰囲気が生まれつつある。

 澤部「ちょっと先輩の芸人さんが出てくれて、俺らがやってることによって、のびのびボケてもらうのはすごくありがたいですね」

 春からは放送時間も2時間に。毎日の生放送に備える生活もだいぶ習慣づいてきた。

 澤部「僕は結構スッとなじみましたね。『ぽかぽか』が始まって早起きの仕事がなくなったので、逆に睡眠時間が増えて。毎日8時間ぐらい寝てるみたいな生活で、より健康的になった。幼稚園送ってワンちゃんお散歩してみたいな感じで、ルーチンは結構仕上がってきてます」

 岩井「僕はそもそもそんな寝ないんで、普通に昨日も朝5時ぐらいまで起きてました。家でダラダラ起きちゃって、4時間ぐらい寝てって感じ。無理して『ぽかぽか』に合わせてるって感じじゃなくって。寝なくても行けるっちゃ行けるタイプなんで」

 楽屋は同じ部屋を使う。特に会話を交わすわけでもないが、その時間は穏やかで居心地がいいものだ。

 澤部「事前に『こんなこと話そう』とか打ち合わせるコンビもいますけど、うちは特に…」

 岩井「つまんなくなっちゃうんで。相方が知ってる状態で(面白いことを)言うって」

 生放送で思いっきり遊び、楽しむ。その自然体こそが、ぽかぽかした温かさをもたらしている。

 結成からは18年になるが、2人の付き合いはもっと長い。地元の同じ幼稚園に通っており、互いに存在は知っていたが、小5のころに初めて同じクラスになったことで意気投合した。

 澤部「幼稚園時代は、母親同士が仲いいとかがあって、同じ幼稚園であることは知っていたけど、遊んでいなかった。グラウンドに土俵がいっぱいある、相撲をめっちゃとる幼稚園で…。岩井、優勝したんだっけ?」

 岩井「いや、俺は確か負けたと思う」

 澤部「5年生で同じクラスになった。2人で学級新聞みたいなのを作って、付録のオリジナルカードゲームみたいなのを作ったりしていました。『遊☆戯☆王』が流行ってて、『(レアカードの)ブルーアイズホワイトドラゴン』というのがいたんですよ。じゃあ、俺たちは『ブルーアイ』って言って、青い目だけのカードを描いて、学級新聞の付録して貼り出したけど誰も取ってってくれなかった(笑い)」

 岩井「確かにそんなのやってましたね。澤部のことは最初からノリが面白いやつだなって思ってました」

 澤部「コントも藤原くんって子を入れて、岩井がネタ書いて3人でやったこともあった。クラスで『澤部くんと岩井さんのトークには入れないや』って一目置かれてましたね」

 少年らしい遊びを楽しんできた幼なじみは、高校生の終わりにコンビを結成。抜てきも早く、すぐに売れっ子の仲間入りを果たした。舞い込む仕事の規模が大きくなったことで、仕事への向き合い方に悩むことはなかったのだろうか。

 澤部「若い時に2人でネタ合わせている時なんてほぼ遊びみたいな感じでやってて、だんだん僕が一人で出るようになって、その時間が単純になくなっていった時期はありましたね。でもラジオ(TBSラジオ「ハライチのターン!」)が始まってから、2人で話せる時間がまた増えてきて、今、学生時代ぶりに毎日会うみたいな感覚が戻ってきてるな、楽しいなって感じがしています」

 岩井「僕はそんなに、始めた時から仕事してるってつもりはあんまりないですね。仕事だとあんまり思ってなくて、好きなことやってるって感じで立ってる。もし仕事でやってたら、もっとタレントっぽくなってると思います」

 テレビのみならず、岩井は執筆でも活躍。さまざまなジャンルで力を発揮しているが、2人はネタで誰かを笑わせることを大切な時間だと考えている。

 岩井「本業ですから、やっぱりネタはコンスタントにやりたいですけどね」

 澤部「新しく岩井のネタを受け取る時、覚える作業はあんまりない。そのまますぐ合わせますね」

 岩井「最近は(ネタを転換する)きっかけとか俺が全部覚えればいいと思って書いているから。それに対して澤部がリアクションする、っていう。ネタを書くのはだいたい夜ですね。文豪じゃないんで、書き出して筆が乗ってくるってことはない。ある程度頭の中にあって、書いて直す部分というのは言葉を伝わりやすいように詰めてるだけ。ここのセリフ、キュッとできるな、とか」

 互いを知っているからこそ、2人だけのしっくりくる漫才の形ができつつある。

 未来や目標について尋ねると、澤部は「ちょうどいいですよ、今。ずっとちょうどいいです」とサラリと言った。

 澤部「ず~っと、今がいいと思ってやってきました。売れてない時も、なんか楽しかったですしね」

 岩井「未来をどういうふうにしようというのはなくて。ただただ、今頑張ってるみたいな感じ。もし頑張った先に、ダメになってもいいんですよ。不安とか思わない」

 仮にうまくいかない日があったとしても、2人はそれすらも笑い飛ばすのかもしれない。毎日を楽しみながら「ハライチ史上最高ハライチ」を更新していく。

 ◆ハライチ 岩井勇気(いわい・ゆうき、1986年7月31日生まれ)、澤部佑(さわべ・ゆう、1986年5月19日生まれ)によるお笑いコンビ。ともに埼玉県出身の36歳。2005年に結成し「ワタナベコメディスクール」を経て06年にデビュー。09年に、「M―1グランプリ」決勝に初進出し、決勝進出は5回。16年からTBSラジオ「ハライチのターン!」がスタート。

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