侍ジャパンのエンゼルス・大谷翔平投手(28)が、“4強の壁”打破へ思い出の地で勢いを加速させる。準決勝、決勝の舞台であるローンデポ・パークは、昨季二刀流で出場し、史上初の「10奪三振&2打点&盗塁」を記録した好相性の地。残り2試合は打者での出場に専念する二刀流が、2大会連続で苦汁をなめた準決勝突破へと導く。
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米国での準決勝以降は打者に専念するとみられる大谷が、優勝のためのキーマンなのは間違いない。打率4割3分8厘、1本塁打、8打点と成績は申し分ないが、タイミングが取りづらい投手との対戦も多く、開幕前の強化試合の方が状態は良かった。
これから対決する投手はメジャーでも屈指のレベルとなるが、大谷にとってはシーズンで戦い慣れている相手ともいえる。味方の投手心理が分かるだけに「1点でも多く取って楽にしてあげたい」とスイッチも入って、ワンランク上の打撃が見られるのではと期待している。
毎試合、負けず嫌いの野球少年のような純粋な姿に心を打たれている。11日のチェコ戦の4回の三盗は、次打者の村上の気持ちを軽くしてあげたいという思いから。16日のイタリア戦の3回に決めたバント安打は先制点の重要性が分かっていたから。一生懸命にプレーしてとにかく試合に勝つというのが、メジャーリーガーとしての誇りなのだ。
大谷だけではなく、ダルビッシュ、ヌートバー、吉田正にあれほどの献身的な姿勢を見せられたら、他の選手はついていくしかない。アウェーとなる米国で、存在価値はさらに高まるだろう。(スポーツ報知評論家・高木豊)