18日に開催されるセンバツ高校野球(甲子園)の開幕試合で、2年連続6度目出場の山梨学院は、東北(宮城)と対戦する。初戦突破のカギを握るのは最速139キロの右腕エース、林謙吾(3年)だ。昨秋から急成長した背番号1。一球ごとに「ウォリャー!」と雄叫びを上げる気迫の投球で、秋の関東大会優勝の原動力となった。
吉田洸二監督(53)は昨春、昨夏も甲子園に導いたが、いずれも初戦敗退。悲願の初戦突破へのキーマンを問われると、迷わずに「エースの林謙吾」と答えた。「春は投手力がモノを言う。冬を越えて直球の球速が少し速くなった。林だけではなく投手陣にはしっかりゲームを作ってほしい」と期待している。
林自身も「自分の中では少しずつよくなっている気がする」と成長を感じている。昨秋の関東大会準決勝の高崎健康福祉大高崎(群馬、5〇2)で公式戦初完投勝利を挙げたが、明治神宮大会の1回戦・英明(香川)戦では先発するも、6回に6失点して降板。スタミナ不足という課題が明確になった。
冬に徹底して心掛けたのは、パワーアップだ。三食の量を増やしたのはもちろん、常にプロテインを摂り、空腹な時間がないほど間食もした。その上で走り込みや下半身の強化に取り組み、体重は1年前よりも13キロ増えて85キロになった。吉田監督も「ウチの練習をしながらそれだけ増えたんだから大したもの」と頼もしそうだ。
プロを目指して野球一筋の生活だが、気分転換は音楽を聴くこと。大好きなアーティストはGReeeeNで、特にお気に入りは「ビリーヴ」や「pride」などだ。試合前のバスの中でいつも聴いているという。
ジャイアンツジュニアに所属していた小学生の頃から憧れていた甲子園のマウンドに立つ日は、まもなくやって来る。「出るからには勝ちたいです」と静かな言葉に闘志を込めた。
(甲斐 毅彦)
◆林 謙吾(はやし・けんご)2005年7月30日、東京都足立区生まれ。17歳。小学生の時、舎人スポーツ少年団で野球を始める。駿台学園中では全国軟式大会で準優勝。好きな選手はジェイコブ・デグロム投手(レンジャーズ)。右投右打。180センチ、85キロ。