侍ジャパン・ヌートバー外野手の母親・久美子さんの出身地で、祖父・榎田達治さんが在住している埼玉県東松山市で“たっちゃんフィーバー”が起きている。ミドルネームの「タツジ」から“たっちゃん”と親しまれるWBC戦士を街一丸となって声援中だ。
東松山を歩けばヌートバーに当たる―。見渡す限り、ヌートバーの顔、顔、顔。「東松山のたっちゃん がんばれ!」。街中の至る所に商店街お手製ポスターが貼られ、市役所の渡り廊下には「東松山ゆかりのヌートバー選手を応援しよう!」の文字が掲げられた。
まるひろ通り商店街の眼鏡店「green optical」の谷嶋紀彦さんは、商店街でのヌートバー応援企画を考えているメンバーの一人。「フィーバーは今年中ずっと続くと思います!」と断言。想像以上に街が応援ムードに包まれていることを受け、イタリア戦の16日からのぼり旗を15本用意し、同商店街に掲げる予定だ。
商店街では“あやかり商品”を販売して盛り上げる。手作りパン工房「pantopia」ではイタリア戦がある16日に「イタリアを食いつくす」と思いを込めて普段の4~5倍多くピザを作る予定だ。
海鮮丼専門店「丼丸岡村屋」では野球ボール形のおにぎりとバットをイメージしたペッパーをひいたカモ肉をセットにした「野球飯 プレイボールセット」(税込み1000円)を3月9日から用意。1日5食限定だったが、話題を呼んだため15日は20食を用意。市外からも客足が増え、午後1時には完売した。代表の岡村孝幸さんは「いつか時間がある時にヌートバー選手にも街に遊びに来てほしい」と会える日を心待ちにしている。
フィーバーを一過性で終わらせるつもりはない。毎年ゴールデンウィークに行う商店街の「こども祭り」を今年は“ヌートバー感謝祭”のような形で行うことを計画。谷嶋さんは「優勝しても、しなくても、感謝を伝えたい気持ちでやりたい。ヌートバー選手のお面をかぶってストラックアウトをしたり、スイカ割りをすることなどを考え中です」と、たっちゃん熱の継続に意欲を見せている。
また、野村克也さんが参拝していたことでも知られている東松山市の箭弓(やきゅう)稲荷神社にはヌートバーファンの参拝が急増。ホームベース形の絵馬の多くにヌートバーの活躍を祈る文言が記されている。同神社の権禰宜(ごんねぎ)・前原一也さんは「ヌートバー選手は必ずチャンスで期待に応えて打ってくださるので、きっと野球の神様にも見守られている方なんだろうなと思います」と話した。
ゆかりの地の期待も背負った“たっちゃん”が、イタリア戦でも「ペッパーミルポーズ」を見せてくれるはずだ。(瀬戸 花音)