フィギュアスケートの羽生結弦さん(28)が座長を務めるアイスショー「羽生結弦 notte stellata」の千秋楽が12日、宮城・セキスイハイムスーパーアリーナで行われた。羽生さんはグランドフィナーレ後に、韓国の人気音楽グループBTSの大ヒット曲「Dynamite(ダイナマイト)」を踊るサプライズを演出。これからもスケートとともに、前に進んでいく。
ショーの最後に、羽生さんによるビッグサプライズが待っていた。グランドフィナーレでリンクを周回した直後、流れた曲はBTSの「Dynamite」。2日間、映像出演だった演目で、氷上でキレキレのダンスを披露。“アンコール”に大歓声が湧いた。
「昨日はあんなに苦しくて、悲しくて、つらくて。1日たってみると、悲しさも越えて、やっぱり前に進んでいかなきゃなっていう気持ちと、また皆さんとともに、なんか、僕が暗い気持ちになっていたら今日はダメだなって思って。頑張って、はっちゃけてっていうか、希望になろうと思って頑張っていました」
東日本大震災から12年たった前日の「3・11」公演では、何度も涙を浮かべた。座長として仲間を支え、支えられ、最終日を笑顔で滑り終えた。これからもスケートとともに生きていく。
「またスケートを見ていただけるように、精いっぱい、自分の幸せを削ってでも、ずっとずっと、羽生結弦として、全てを背負って、進んでいくんで。どうか、応援してください」
故郷でのアイスショーを、プロらしく全演目ノーミスで完遂した。「春よ、来い」では愛(いと)おしそうに、いつも以上に氷に頬を寄せた。特別な場所で、特別な思いを、滑りに込めた。
「未来が何も見えない、何も分からないこんな世の中で、毎日毎日、生き抜いてください。この12年間の毎日、1秒ずつ、1日ずつ、生きてきた、この愛おしい愛おしい12年間を、今日からまた、1秒ずつ、1日ずつ続けてください。僕もそうやって生きていきます」
フィナーレのMISIAの「希望のうた」は羽生さんの選曲。歌詞を口ずさみながらの熱演だった。スケートで伝えた「共に、前へ」のメッセージ。優しく温かな光を、東北の氷上から照らした。(高木 恵)