◆名古屋ウィメンズマラソン2023(12日、バンテリンドームナゴヤ発着)
21年東京五輪代表の鈴木亜由子(31)=日本郵政グループ=が、2時間21分52秒の自己新で日本勢トップの2位に入り、出場資格を持つ24年パリ五輪日本代表選考会(MGC、10月)へ弾みをつけた。前田穂南(26)=天満屋=も2時間22分32秒で自己ベストを更新して3位に入り、MGC出場権を獲得。ルース・チェプンゲティッチ(ケニア)が2時間18分8秒で2連覇。今大会は応援制限がなく、沿道のにぎわいが目立った。(曇り、気温19・0度、湿度49・4%、北北西の風0・2メートル=スタート時)
“亜由子コール”に、背中を押された。地元は愛知で名大出身の鈴木は「応援が力になった。皆さんの思いがタイムにつながった」と満開の笑顔でゴールテープを切った。思い出の地で自己ベストを10秒更新し、「自分を一つ超えた」とすがすがしい表情だった。
日本勢トップ争いの第2集団で鈴木が仕掛けたのは、27キロ。「試走した時からこのあたりだと思っていた」と計画通りにギアを上げた。「終盤は本当に足も呼吸も苦しかった」と振り返ったが、沿道から「21分台行ける!」の声が聞こえ、力強さを保ったままフィニッシュした。
東京五輪は19位。16年リオ五輪5000メートル代表のスピード力が生かしきれなかったが、「今回は自分のペースで後半まで押せた」と5度目のマラソンで明確な自信がついた。「今後は20分切りを狙う。自分の可能性を信じて挑戦する」と30歳を超えてもなお、進化し続ける。(手島 莉子)