Twitter facebook Instagram YouTube

羽生結弦さん 黙とう捧げ、涙…何度も氷に手を置き「宮城県民として説明させてください」

「春よ、来い」を終えて氷に触れる羽生結弦さん(カメラ・矢口 亨)
「春よ、来い」を終えて氷に触れる羽生結弦さん(カメラ・矢口 亨)

 フィギュアスケートの羽生結弦さん(28)が座長を務めるアイスショー「羽生結弦 notte stellata」の第2日目は東日本大震災発生から12年の11日、宮城・セキスイハイムスーパーアリーナで行われた。

 12年前に震災が発生した時間の午後2時46分。開演前の氷上で出演者とともに1分間の黙とうを捧げた羽生さんの目から、涙があふれた。午後2時半過ぎにリンクに姿を見せた羽生さんは、エッジケースを抱きしめ中央へ。目線を天に向けた。

 言葉に、滑りに、特別な日にかける思いがにじんだ。午後4時に開演した2時間にわたるアイスショーの間、何度も氷に触れた。何度も目を潤ませた。震災から12年。3月11日、観客の前での演技。最後のあいさつでマイクを握った。

 「こうやって希望をたくさん届けたつもりですけど、祈りもたくさん届けたつもりですけど、その後にちょっとだけここで、なぜここの氷にたくさん手をついていたか、そして手をついて上に気持ちを上げていたか、少しだけ宮城県民として説明させてください」と切り出した。

 「ここは、宮城県民、そして仙台市民、すべての人々にとって、本当に特別な場所です」。震える声で言った。「ここは…ここは、遺体安置所だったんです」

 「だから本当に、こうやって、たくさんの今ある命が、ここの場所に集まって、その中で僕がこんな演技をしてしまって、3月11日という日に、この演技をして、ここに氷を張っていいのだろうかという戸惑いは、すごくすごくありました。ただ、今日この『notte stellata』をやって、きっと、震災に関わらなかった人も、震災で苦しんだ方々も、そして震災のニュースを見て苦しんだ方々も、ちょっとでも、希望だったり、優しさだったり、そんな時間ができたのではないかなと思っています。僕が生きて今日という日をみなさんの前で、この会場で迎えることができたのは、少しでも意味があるものになったのかな、と自分を肯定できます」

フィナーレでスタンドに挨拶する羽生結弦さん(カメラ・矢口 亨)
フィナーレでスタンドに挨拶する羽生結弦さん(カメラ・矢口 亨)

 最後に両手を氷に触れ、リンクを上がった。もう一度マイクを握った。

 「どうか最後まで、最後の最後まで、気をつけて帰って下さい。今日ある命は明日もあるとは限りません。今日の今の幸せは明日もあるとは限りません。そうやって地震は起きました。だから、みんな真剣に、今ある命を、今の時間を、幸せに生きてください」(高木 恵)

◆配信 宮城から希望を発信。「羽生結弦 notte stellata」最終日はHuluストアで生配信(12日午後4時まで販売)。

「春よ、来い」を終えて氷に触れる羽生結弦さん(カメラ・矢口 亨)
フィナーレでスタンドに挨拶する羽生結弦さん(カメラ・矢口 亨)
すべての写真を見る 2枚

スポーツ

個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請 報知新聞150周年
×