開設73周年記念・ナイターG3「金亀杯争覇戦」を開催中の松山競輪では、最終日の12日に121期生9選手による「ルーキーチャンピオンレース(若鷲賞)」が行われる。前検日に当たる11日、地元の真鍋智寛(愛媛)、卒業記念レースを制した纐纈洸翔(こうけつ・ひろと=愛知)、S級特進まであと3に迫った後藤大輝(福岡)ら有力選手が続々集う中、12年前に東日本大震災を経験した五十嵐綾(福島)も元気に競輪場入りした。
五十嵐は福島と県境を接する茨城県北茨城市出身。震災が発生した当時は小学4年生で、ちょうど授業中だったという。同市では震度6弱を観測、沿岸部には最大6・7メートルの津波も押し寄せた。「今思えば大変だったなと。実家も被害はありました。でも、福島に比べたら…」と、3・11の記憶は薄れていない様子。そこから「就職率がよかった」との理由で、いわき市の平工高に進学。平競輪をたまたま見にいったのがきっかけとなり、2年生から自転車部に。すぐに頭角を現して、3年生ではインターハイ、国体のポイントレースでともに準優勝の実績を残した。
「ルーキーチャンピオンレース」は、同期生の成績上位者による一生に一度の頂上決戦。65期生から始まり、過去の優勝者には初代の海田和裕(三重=引退)、66期の岡部芳幸(福島)、96期の深谷知広(当時愛知、現静岡)、107期の新山響平(青森)らビッグ覇者も多い。五十嵐も「直前の練習では、特別いい感じはしなかった。そこは気持ちでカバーしたい。自分は中長距離系の競技をやっていて、まだダッシュが課題。今回もみんな強いけど、自分からレースを乱していけばチャンスが来るかも」と一発狙っている。