13日発表の米アカデミー賞作品賞予想、「エブエブ」大本命も、データでは「イニシェリン島の精霊」

「イニシェリン島の精霊」(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.
「イニシェリン島の精霊」(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 米映画芸術科学アカデミーが主催する第95回アカデミー賞は、12日(日本時間13日)に発表・授賞式が米ロサンゼルスで行われる。オスカーの行方に注目が集まる中、作品賞の大本命と見られているのが最多11部門にノミネートされている「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(通称「エブエブ」)。ただ、データだけで見ると「イニシェリン島の精霊」が浮上した。

 全米の映画賞レースが始まって以降、「エブエブ」はその先頭を走ってきた。さらに日を追うごとに、アカデミー賞作品賞の可能性は高まってきている。世界的に知られる英国のブックメーカー、ラドブロークス社とウィリアムヒル社の人気上位作品の作品賞受賞オッズは、2月1日と3月9日を比較すると以下のようになっている。

 ▼ラドブロークス社

「エブエブ」 1.33倍→1.14倍

「イニシェリン島の精霊」 4倍→13倍

「トップガン マーヴェリック」 17倍→17倍

「西部戦線異状なし」 34倍→11倍

 ▼ウィリアムヒル社

「エブエブ」 1.4倍→1.05倍

「イニシェリン島の精霊」 2.75倍→13倍

「トップガン マーヴェリック」 13倍→23倍

「西部戦線異状なし」 15倍→11倍

 ウィリアムヒル社に至っては、「エブエブ」のオッズは、ほぼ元返しの1.05倍。一方、「イニシェリン―」は大きくオッズを落とし、「西部戦線―」に逆転されて3番人気となっている。

 ただ、世間の人気や作品の好み、内容をいったん置き、過去のデータのみで予想すると、「イニシェリン―」が”逆転”。ノミネートが最大10本となった第82回以降で見ると、オスカー獲得作品は以下の4条件を満たしており、今回それをクリアしているのは同作だけだった。

 〈1〉脚本賞、脚色賞のどちらかにノミネート…「イニシェリン島の精霊」「ウーマン・トーキング 私たちの選択」「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」「逆転のトライアングル」「西部戦線異状なし」「TAR/ター」「トップガン マーヴェリック」「フェイブルマンズ」が該当

 映画にとって最も大切なのは何と言っても脚本。どれだけ役者が優秀でも、脚本の出来が良くなければ”駄作”となってしまう。米アカデミー賞はオリジナル作品を対象とした脚本賞、小説や戯曲などの映像化や続編などを対象とした脚色賞と分けられているが、このどちらかにノミネートされていなければ、作品賞は遠い。

 〈2〉俳優賞のいずれかにノミネート(外国語作品は除く)…「イニシェリン島の精霊」「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」「エルヴィス」「TAR/ター」「フェイブルマンズ」が該当、「西部戦線異状なし」はドイツ語作品のため除外

 脚本がしっかりしている上で、もちろん役者陣の演技の奮闘も必須。外国語映画は出演俳優の他作品との比較が難しいためにここには当てはまらない(第92回の「パラサイト 半地下の家族」は俳優賞へのノミネートなし)が、主演男女、助演男女4部門のうち、最低でも1人はいずれかにノミネートされている必要がある。

 〈3〉前哨戦で作品賞、もしくはそれに準じた賞を受賞…「イニシェリン島の精霊」「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」「TAR/ター」「フェイブルマンズ」が該当

 米アカデミー賞には、投票者が重複しているなどの理由から、受賞の行方を占うとされる賞が存在。一般的にはゴールデン・グローブ賞、全米・ロサンゼルス・ニューヨークの各映画批評家協会賞、全米映画俳優組合賞、全米製作者組合賞が挙げられる。これらの作品賞、もしくはそれに準じた賞(全米映画俳優組合賞のキャスト賞)を受賞し、一定の評価を得ていなければならない。

 〈4〉上映時間が135分以下…「イニシェリン島の精霊」「ウーマン・トーキング 私たちの選択」「トップガン マーヴェリック」が該当

 今年のノミネート作品で特徴的なのが、上映時間が長いこと。3時間超えの「アバター/ウェイ・オブ・ウォーター」(192分)を筆頭に、全10本の平均は144.2分となる。「短ければいい」という訳ではないが、第82回以降の受賞作で最長だったのは第86回の「それでも夜は明ける」の134分。全13回の平均は120.5分で、半数以上の7本が2時間以下だった。ちなみに、「イニシェリン島の精霊」の上映時間は114分となっている。

 昨年も同様の予想をして「データでは『パワー・オブ・ザ・ドッグ』、勢いでは『コーダ あいのうた』」と書いたが、結果はご存じの通り。果たして今年はどうなるか…。

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