和歌山・白浜の地に釣具・餌店「フィッシングベース海クン」をオープンさせて23年がたち、私は今年73歳になる。2年ほど前から体力がなくなったことを実感。「この仕事をいつまで続けられるのだろうか…」と、ずっと考えながら今日まで営業してきた。このままの体力で続けると、お客様にご迷惑をかけてしまいかねない。家内とよく話し合い、今月いっぱいをもって廃業することを決断した。
振り返れば、いろいろなことがあった。解凍する餌を外に出し忘れたり、解かし方が悪ったり、解かしているオキアミを盗まれてお客様にどなりまくられたこともあった。他にもつらいことはたくさんあったが、いいこともたくさんあった。今となれば、すべていい思い出だ。ここまで続けてこられたのは従業員、長年にわたって足を運んでくださったお客様、グレ闘友会の会友や釣友のおかげだと、心より感謝している。
さて、今後だ。4月からもウキとマゼラーの製作・販売は、今まで通り続けていく。ただ、販売場所が自宅横の工房と通信販売になるので、電話をいただくか釣りの帰りにでも寄っていただければうれしい。
もちろん、釣りは足腰が立たなくなるまで続けたい。子育てのため好きな釣りを長らく我慢してきた妻と一緒に、いろんな釣り場へ行く予定だ。お客様と釣り場で再会できるのを楽しみにしている。
やはり、ずっとお店に通っていただいたお客様の顔が見られなくなるのは寂しいが、ひと仕事を終えて「やれやれ」という気持ちもある。くすぶっていた心が、3月になって晴れ晴れしてきた。長きにわたって海クンをご利用いただき、誠にありがとうございました。皆様に感謝です!
◆藤原 義雄(ふじわら・よしお)1950年9月20日、徳島・鳴門市生まれ。72歳。21歳からグレ釣りを始め、数々のトーナメントで活躍。「ゼロスルスル釣法」の考案者。がまかつ、マルキユーなどメーカー数社のインストラクターを長年、務める。グレ闘友会会長。和歌山県白浜町で釣具・餌店「フィッシングベース海クン」を経営し、南紀の磯釣りに精通。プロ野球は大の巨人ファン。