選手たちのいきいきとした表情が全てを物語っている。中日の球団公式YouTubeが4日に投稿した動画が、大バズりしている。公開からわずか数日しかたっていないが、一時は急上昇ランク1位に浮上するなど、同チャンネルの動画でぶっちぎり、過去最高となる200万超えの再生回数をたたき出した。(3月8日時点)
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バンテリンドームで行われた4日の侍ジャパンとの壮行試合前。前日、チームに合流したエンゼルス・大谷翔平選手の打撃練習が行われた。世界トップレベルを一目見ようと、一塁ベンチも打撃開始前からにぎわった。昨季最多安打を獲得した岡林や、中継ぎとして欠かせない存在になった藤嶋は自身のスマホを持ち込み、その決定的瞬間を忘れないでおこうと記録した。破壊音とともに打球は果てしなく飛んでいく。ドーム5階席の上段へたたき込んだ、驚がくの一発には「えぐい」、「うそやろ」、「やばい」とプロ野球選手らしからぬ言葉が並んだ。第一線で活躍するプロ野球選手が〝野球少年〟と化した動画は、大反響を呼んだ。
選手やチーム関係者、観戦に訪れたファン、当然だが私たち報道陣も言葉を失いかけ、ただただ幸せな時間を過ごした。そんな中、至福の瞬間に背中を向けカメラを回し続けたのが、球団公式YouTube担当者の岡田昌尚さんだ。後日、「自分が見るのを我慢して撮影したことをほめてください…(笑い)」とこぼすほど。WBC日本代表には複雑な撮影のルールが定められており、大谷の打撃練習を撮影することはできなかった。そこで7年前のある記憶をよみがえらせ、一塁ベンチの端っこに岡田さんは陣取った。
2016年、前職でテレビ局のディレクターとして楽天担当をしていたときのこと。日本ハム時代の大谷が東京ドームで打撃練習をしているとき、楽天ナインは「大谷鑑賞」を行っていた。バックスクリーン上段、推定160メートル弾を放ったとき、抜群のリアクションを取ったある選手の表情を押さえていた。今大会でも日本代表に選出される松井裕樹投手(楽天)だ。両目を見開き、口をあんぐりさせた驚きの表情は、スポーツニュースの枠を飛び越え、バナナマンのバラエティー特番でも紹介された。岡田ディレクターの機転の利いたワンショットに、当時の先輩からも絶賛された。実は、今回の200万回再生「神動画」のアイデアを見た阪神の担当者も、6日の侍ジャパン強化戦(京セラD)で企画を採用。すでに100万回を超える再生となっている。
それにしても「SHOW TIME」はすごい。この日を境に、取材をしていても、大谷の打撃練習の話になってしまう。日本ハム時代に大谷と同僚だった谷元圭介投手は、名古屋での再会を喜び「一緒にやってた時からすごかったけど、もっとすごくなってたわ。とんでもない才能を持った弟の成長を見てる感じかな」と表現。YouTube内で、楽天・松井に負けず劣らずのリアクションをみせ、学生時代の仲間から連絡がひっきりなしに来ているという新人の田中幹也内野手=亜大=も「もう、最高の一言です。前から好きでしたけど、よりファンになりました。これから好きな選手を聞かれたら『大谷翔平選手』って答えます」と笑顔で即答していた。
9日、いよいよ侍ジャパンが出陣する。大谷だけじゃなくダルビッシュ、ヌートバー、吉田正のメジャー組に、村上や佐々木朗、高橋宏らを筆頭とした国内組の爆発も楽しみだ。この動画の再生回数がどこまで伸びるのか推移を見ながら、世界最高峰の戦いをじっくり見ていきたい。(中日担当・長尾 隆広)
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