3月4、5日の中山、阪神開催で6人の新人騎手が初陣を飾った。残念ながらデビュー週Vは達成できなかったが、今後に期待できる一生懸命な騎乗は印象に残った。今年のルーキーも、現状は2人の女性騎手が話題をさらっているが、個人的に注目しているのは美浦の小桧山悟厩舎に所属する佐藤翔馬騎手だ。
父は川崎の元騎手で現調教師、母は元厩務員という筋金入りの競馬ファミリー。0歳から母に引いてもらって馬に乗り始め、すでに3歳からひとりで乗れるようになったという。「サッカー、野球など他のスポーツに全く興味がなかったというか、競馬以外に関心を抱いたことがないというか。ジョッキーになることにたいして、ぶれることはなかったですね」。サラリと教えてくれたが、小さい頃の憧れ、夢を実現できる人が果たしてどれだけいるものか。記者より20歳以上も年下だが、話を聞いて尊敬の念を抱いた。
佐藤翔馬騎手に興味を持ったきっかけは、師匠である小桧山悟調教師の一言だった。「良い意味でだけどね」。ニヤリと笑って前置きしたあと、「腹が立つくらいセンスがいい」とうれしそうに教えてくれた。来年で定年引退となる小桧山師は騎手4人、調教師3人の門下生がいるが、おそらく最後となるであろう弟子への期待も大きかった。
3月4、5日のデビュー週は7鞍に騎乗して4着が最高だったが、想像より落ち着いて乗れていた印象を受けた。将来は「海外にもいってみたい」という目標を持つ18歳のルーキーを今後も注目していきたい。(中央競馬担当・西山 智昭)