6日に行われた麻雀・Mリーグ第85節の第1試合で、仲林圭(パイレーツ)が役満・国士無双を「頭ハネ」により逃す珍しい場面があった。
“事件”は南2局5本場に起きた。微差ながらトップ目の仲林は、5巡目で早くも国士無双をテンパイする。待ちは「九萬」でヤミテン。下家で親番の滝沢和典(麻雀格闘倶楽部)は「九萬」を余剰牌として抱えていた。放銃か―。しかし滝沢は「三萬」切りで一旦回避する。
すると7巡目、村上淳(ドリブンズ)がリーチ。待ちはなんと「六・九萬」。Mリーグには規定でダブロンがなく、アガれるのは1人だけ。同巡、滝沢から「九萬」がこぼれた。
「ロン」「ロン」。村上(西家)と仲林(北家)の声が重なった。この場合、アガりの優先権があるのは、滝沢(東家)からのツモ順が近い村上だ。「リーチ・一発・發」の6400点(積み棒+1500点)。仲林は頭ハネにより、役満3万2000点を目前で逃した。
「悲しかったです。役満、アガりたかったな…」。上位争いをしていた滝沢が後退したことで仲林はこの試合を1着で終えたが、勝利者インタビューでも喜び半分の複雑な表情だ。「出た!って言いそうになりました。そしたら村上さんが『ロン』って…。人生で初めてです。笑うしかないですね」。
折しもMリーグでは、直近3週連続で役満が飛び出している“確変”状態。あるぞ4週連続!と思われた直後に起きた、麻雀劇画のようなワンシーンだった。
試合結果は1着に仲林(+49・5)、2着に滝沢(+7・2)、3着にフェニックスの東城りお(▲17・0)、4着に村上(▲39・7)。
■滝沢和典(3万2000点放銃が6400点で済んだことで2着キープ)「トップを取ったのと同じくらいのうれしさですね(笑い)。同時に(仲林には)ゴメン!と思いました。この舞台で役満アガりたかったと思いますので」
◆頭ハネ(あたまはね) 2人以上の対局者から同時にロンが宣言された時、放銃した人からツモ順が一番近いプレイヤーにアガりの優先権があるとするルール。