◆日本競輪選手養成所(123期、124期)卒業記念レース・最終日(2日、静岡・伊豆)
日本競輪選手養成所(静岡・伊豆市)第123期(70人、適性5人)と第124期(女子12期=23人、適性4人)の卒業記念レース最終日が2日、同所内のJKA400で行われ、男子は荒川達郎(23)=埼玉=が巧みなレース運びから直線で強襲し優勝。最後の決勝を勝ち切ったことで在所1位にも輝いた。両期の候補生は3日に卒業式を終え、10日に選手登録。4月30日から始まるルーキーシリーズ(宇都宮)から、各地でデビューを迎える。
結果、内容ともに抜群の勝負強さを見せた2日間だった。荒川は、一走目の「予選1」こそ3着だったが、その後は3連勝で卒記チャンピオンの座まで上り詰めた。日替わりだった在所順位でも最後の最後に逆転を果たし、2つの勲章を勝ち取った。苦楽をともにしたライバルとの激闘を振り返り「決勝は先行しようと考えていたが、思っていたよりも周りの仕掛けが早かったので落ち着いて行こう、と。最後は必死でしたが、届いて良かった」と胸をなで下ろした。
自転車競技では21年大学対抗ケイリン2位などの成績はあるが、養成所の門を叩いたきっかけは、競輪が趣味の父親の強い勧め。半ば強引に進んだ道だったが、周りに負けたくないという気持ちが芽生え、迷いはなくなっていった。スキーで培ったバランス力と、自転車の競技経験も重なり才能が開花。競走訓練での成績も、39走して着外はわずか4回。落ち着いたレース運びと、流れを見極める冷静さが光る。
在所1位で卒記チャンプという肩書きを持って挑むプロの世界。約2か月の準備期間はあるが「これからが本番なので、練習を頑張りたい。関東を代表するような選手になるのが目標で、ファンの人から安心して車券を買ってもらえるようになりたい」と力強く宣言した。埼玉からの卒記チャンプ誕生は、119期の桑名僚也以来3人目(卒業記念レースとして一本化された26期=1969年以降)。見据える先は大きいが、止まることを知らない若武者の快進撃は始まったばかりだ。
◆荒川 達郎(あらかわ・たつろう)1999年6月30日、埼玉県朝霞市生まれ。23歳。日本体育大学卒業。師匠・太田真一(埼玉・75期)。170センチ、75キロ、太もも61センチ。血液型O。