今年の第99回箱根駅伝(1月2、3日)3位で連覇を逃した青学大の新コーチとして、中大、エスビー食品、中国電力で監督を務めた田幸寛史氏(54)が4月1日付けで就任することが1日、分かった。田幸氏はこの日、東京・町田市内の選手寮で行われたミーティングに出席し、就任のあいさつを行った。大学、実業団の名門で監督を歴任した“大物コーチ”が選手寮に住み込み、原晋監督(55)を支える。強力な参謀が加わる青学大は第100回箱根駅伝(来年1月2、3日)で王座奪回を目指す。
大学駅伝界で王座奪還を目指す青学大に頼もしい“参謀”が加わることになった。今季、安藤弘敏コーチ(59)、勝亦祐一コーチ(52)、伊藤雅一コーチ(27)の3人が原監督をサポートしていたが、勝亦コーチは4月1日から静岡・飛龍高の監督に就任し、青学大を離れる。原監督は後任として田幸氏に打診。ルートインホテルズのヘッドコーチを務めていた田幸氏は2月に同社を円満退社し、青学大コーチへの転身が決まった。
この日、田幸新コーチはミーティングに初参加し、選手、スタッフにあいさつした。
「青学大は優勝しないと悔しいと思うチーム。だからこそ私は青学大でコーチをやりたいと思いました。皆さんの力になりたい」
田幸新コーチが力強く意気込みを語ると、チーム全体から大きな拍手が沸き起こった。
中大のコーチを2年、監督を4年務めた田幸新コーチは学生の指導に精通しており、心強い存在となる。田幸氏が監督を務めていた04~07年度、中大は箱根駅伝で4位、8位、8位、7位。全日本大学駅伝では3位、2位、3位、3位。出雲駅伝では3位、2位、12位、7位。学生3大駅伝を通じて安定した成績を残し「日本一速い監督」と呼ばれる立大の上野裕一郎監督(37)ら好選手の育成にも尽力した。明大の西弘美・現スカウティングマネジャー(70)が日大と明大でコーチと監督を務めた例などがあるが、名門校の監督を務めた指導者が他校のコーチに就任することは極めて異例の転身だ。
原監督は田幸新コーチについて「経験豊富なので、私と違った視点でアドバイスをしてくれると思います。何より実直で信頼できる人です」と話す。田幸新コーチは原監督と妻で寮母の美穂さん(55)とともに選手寮に住み込み、チームを献身的にバックアップする覚悟を持つ。
ミーティングで原監督は「今のままでは来年の箱根駅伝は10位。ひとつ間違えたらシード権(10位以内)を落とす」と危機感を訴えた。記念すべき第100回箱根駅伝に向けて、青学大は新体制で第99回優勝の駒大、同2位の中大、同4位の国学院大などの強豪と勝負に臨む。
◆田幸 寛史(たこう・ひろし)1968年9月10日、長野市生まれ。54歳。長野高3年時に全国高校総体3000メートル障害2位。87年、中大入学。箱根駅伝は2年8区4位、4年2区5位。91年にエスビー食品入社。2000年に引退し、同社コーチに就任。02年に中大コーチ、04年に監督昇格。08年3月に退任し、同年4月からエスビー食品監督。13年4月に同社の廃部に伴い、DeNAに移籍。18年7月からは中国電力監督や女子のルートインホテルズのヘッドコーチなどを務めた。