フィギュアスケート男子で2014年ソチ、18年平昌五輪を連覇し、昨年7月にプロ転向した羽生結弦さん(28)が、スケーター史上初となる東京ドームでの単独公演「GIFT」を26日に開催する。古今東西のアイスショーの常識を覆す演出を担当するのが、日本を代表する演出振付家のMIKIKOさん。25日までにスポーツ報知の書面インタビューに応じ、羽生さんと作り上げる“一夜限りの贈り物”にかける思いを聞いた。(取材・構成=高木 恵)
―史上初のスケーターによる東京ドーム公演になる。最初に「GIFT」演出の話が届いた時、率直にどのような気持ちに?
「同じ身体表現とはいえ、未知なる世界だったので正直不安はありましたが、それよりも未だ経験したことのない挑戦をご一緒できる興味の方が大きかったです」
―これまでも数々のライブ、クリエーターとのコラボレーションを手がけてきたが、スケートのショーの演出の魅力とは。
「氷上でしか表現できないスピード感や美しさがあると思います」
―演出の準備、計画段階で、ミュージシャンのドーム公演と異なることは?
「普通のライブとは構成が全く違うので、そこが一番見どころでもありチャレンジでもあります」
―羽生さんのプロ転向後初のアイスショー「プロローグ」では、「春よ、来い」「いつか終わる夢」の2つの演目を担当。プロジェクションマッピングによる演出が印象的だった。「いつか終わる夢」での「感情」「真っ暗」「灯る」「応援」「希望」「怖い」「夢」「独り」「想い」「水面」といった文字が氷上を流れる演出は、どのようなアイデアから生まれた?
「羽生君からいただいたこの曲に対するイメージの文章が素晴らしかったので、その言葉のかけらたちをファンの方へも届けたいと思いました」
―「プロローグ」を羽生さんと作り上げていく過程で、印象に残っていることは?
「楽曲に込めた思いを丁寧に文章で送ってくれたことが一番印象的でした。その文章を読んで、なぜ彼が表現者として世界を魅了できているのかが理解できた気がしました」
―MIKIKOさんが思う羽生結弦の表現者としての魅力とは。
「テクニックをひけらかさず、それがあることが大前提で、音楽やそのプログラムに込められた思いを表現できていることが素晴らしいと思います」
―「GIFT」開催発表の際に、MIKIKOさんから「まだ見ぬ景色を求め挑戦し続ける羽生君の姿に背中を押され、東京ドーム単独公演という新たな挑戦にお供させてもらうことを決めました」とのコメントがあった。どんなショーに、どんな一夜にしたい?
「プロになった覚悟と、これから進む道を照らす明るい光を感じさせる様な一夜にしたいです」
◆MIKIKO ダンスカンパニー「ELEVENPLAY」主宰。演出振付家として、アート・音楽・テクノロジーの世界で多岐にわたり活躍。Perfume、BABYMETALをはじめとする様々なアーティストのMV・アニメ・CM・舞台など数多くの作品の振付を手がける日本を代表する振付師。星野源の楽曲に振り付けた「恋ダンス」が社会現象となるなど、当代随一の演出振付家として知られる。