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西山朋佳女流名人 誕生から一夜明け 「40歳以降も充実させるために…」

女流名人を奪取してから一夜明け、取材に応じる西山朋佳女流名人
女流名人を奪取してから一夜明け、取材に応じる西山朋佳女流名人

 将棋の西山朋佳新女流名人が25日、女流名人位を初奪取した第49期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負第4局から一夜明け、都内で取材に応じた。

 新女流名人は、カフェで注文列に並びながら、「そういえば、昨日対局中に飲んだ桜オレも、おいしかったなと夜に思い出しました」と穏やかな笑顔を浮かべた。盤だけにのめり込んだ熱戦を終えた夜は早めにベッドに入ったが、頭はさえていた。たくさんのお祝いの連絡に返信。地元・大阪狭山市にいる将棋の恩師からは「デイサービスの館長も『西山』っていうから、いつも対局の新聞をとっといてくれるんだ。だから明日も新聞見るんや」とうれしそうな声色で電話があったという。西山自身もうれしい気持ちを胸に抱いて、眠りについたのは深夜0時を過ぎてから。「午前に寝るのはけっこう珍しいです」と笑った。

 2021年4月、棋士養成機関「奨励会」を退会し、女流棋士に転向した。女流名人戦の出場資格を得て、初めて予選から挑んだ今期の女流名人戦。「不思議な感じで…予選から今まで、長かったなと。リーグ9回戦で自分が駆け上がるっていうビジョンは浮かびづらい。昨日の対局もそうですけど、リーグ戦の里見(香奈女流五冠)戦や鈴木環那戦など負けの内容も多かったので、いろいろひっくるめて幸運なところが多かったかなと思います」

 これまで、「女流二冠」と書いていた色紙の署名。「前は女流三冠だったので、『女流二冠』と書きながら、それが今の自分の実力だとは受け止めつつも、さみしかった」という。今日からは、「女流三冠」と書く。「しばらくは『三』って書ける。それがうれしいですね」。

 女流名人戦、今シリーズのキャッチコピーは「夢の続きか、始まりか―」だった。「夢って昔はあまり思い浮かばなかったですね」という西山だが、今は夢について考えるようになったという。奨励会時代、「体的にキツすぎた」日々の中、「あんまり長生きできないかな。30歳までは無理かな」と漠然と思っていた。女流棋士に転向して芽生えた「もしかしたらこれからも生きられるかな」という感覚。だから、「長生きしたいなって思っています」。

 これで再び、8つある女流タイトルを里見と分け合うことになった。またすぐに、次のタイトル戦(マイナビ女子オープンの防衛戦)が待っている。「将棋の夢…じゃないかもしれないですけど…40歳以降も充実させたいなって思いが芽生えてきていて、そのために今が大事かなと思ってます」。快晴の空の下、女流名人は歩みを進める。(瀬戸 花音)

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