沖縄の海に散った特攻隊員が現代にタイムスリップの奇跡と感動のストーリー
第38回ギャラクシー賞奨励賞受賞作品を原作としたミュージカル「流れる雲よ」の続編映画「消せない約束~The Indelible Promise~」(大窪一通監督)の製作発表会見が24日、都内で行われ、主演を務める俳優・藤嶋翔大と上坂英俊、市川大樹やつちやかおりらが出席した。
「流れる雲よ」は演劇集団アトリエッジが、23年間全国で上演してきた草部文子脚本によるベストセラー特攻隊ミュージカルで、太平洋戦争末期の海軍航空隊基地を舞台に、日本が数日後に敗戦すると分かっていながら日本のために特攻隊員として旅立っていく若者たちの姿を軸に、ラジオを通したタイムスリップも絡めた奇跡と感動の物語。今回、映画化される「消せない約束」はそのアナザーストーリーで、海に散ったはずの特攻隊員が時空を超えて令和の沖縄に流れ着き、現代の若者とのふれあいのなかで、命の尊さ、戦争のない世界の幸せ、平和とは、日本として大切なものは、などを考えるきっかけになる続編だ。
これまでミュージカルの舞台に出演してきた実力派の俳優陣が今回も出演。主演の藤嶋は「映画でもこのメンバーで(「流れる雲よ」の思いを)届けさせてもらえる嬉しさがある。感謝の気持ちでいっぱいです」とコメント。ダブル主演を務める上坂も「自分は現代の若者役を演じるので、皆さんと同じ目線で過去をのぞいて、これからどうしていくのかを考えるヒントになれば」と意欲を見せた。
また、これまで舞台を通じて戦争のない世界を訴え続けている市川は「(舞台を)何年やってきても戦争はなくならないといつも思う。今も戦争はずっと続いている。舞台よりも映像にして、映画館でやると1人でも多くの方々に見ていただけると思うので、1人でも多くの方々に自分たちの思いが伝われば」と言葉に力を込めた。
撮影は東京と沖縄・宮古島で行われ、26日にクランクインし、5月まで撮影は続く。
エグゼクティブプロデュ―サーの伊藤直美氏は「たった78年前に日本の先人たちが、日本の未来を守るために命がけで注いでくださったたくさんの愛を、今の私たちは受け止め切れていないのでは」と問題提起。その上で「大きな深い愛を受け止めれば、もっと幸せになれるし、もっと勇気を持てるし、もっと自信が持てるし、幸せを感じることができるのでは。そんな先人たちの大きな愛を、今の私たちにつなぐような、そんな映画にできれば」とコメント。
会見には、脚本家として草部文子のペンネームを持ち、演劇集団アトリエッジの主宰でテレビドラマなどのプロデュ―サーでもある奈美木映里も出席。「24年前にラジオドラマとしてギャラクシー賞をいただいた作品を『流れる雲よ』と名前を変えて舞台化して今年で24年目。『日本で一番、無名な有名作品だね』って言われ続けてやり続け、昨年は60公演近くやったかと。ほんとたくさんの方々に見ていただいてきた作品の映画化ですので、より多くの方々に見ていただければ」と話した。また、脇を固めるつちやかおりは「気心知れたメンバーでできるのはとてもうれしい。プライベートでいえば、夫婦役というか、夫婦が(演技のなかで)久しぶりにできるので、夫婦を存分に楽しみたい」と話し、会場のムードを和やかにする笑いを誘った。
映画は2024年公開予定。カンヌ国際映画祭参加作品となる。