武藤敬司”氏”(60)が引退した。引退興行プロレスリング・ノア「KEIJI MUTO GRAND FINAL PRO―WRESTLING “LAST” LOVE~HOLD OUT~」(21日・東京ドーム)は、プロレスでは、コロナ禍以降最多となる3万96人の大観衆を集め、生配信した「ABEMA PPV ONLINE LIVE」は実数非公表ながらプロレスでは最高券売数を記録したという。
ドームプロレスの3万人超えは、コロナ前の2020年1月5日の新日本プロレスで記録した3万63人以来のこと。この興行では「獣神サンダー・ライガー引退試合」が第1試合で行われたが、武藤氏はそれを33人上回った形だ。「俺の引退をもって猪木さんが築きあげたプロレスが終わる」と言って引退試合に臨んだ武藤氏だが、令和のファンやディレクターは、昭和・平成のプロレスの価値を再認識したのではないだろうか。
武藤氏はファイナルマッチで内藤哲也(40)に敗れ、試合後に放送席でゲスト解説を務めた同期入門で1984年10月5日のデビュー戦で対戦した蝶野正洋(59)をリングに上げ、引退試合の番外戦を繰り広げた。
引退した武藤氏が解説席にいて、同じようなシチュエーションに遭遇したら、どうなるだろうか。引退試合直後の会見では「これで復帰したら詐欺で訴えられちゃうよ」と武藤氏らしいセリフを放って、きっぱり否定している。
武藤氏の化身、グレート・ムタは、武藤氏の引退に先立ち、1月22日にプロレスリング・ノア「GREAT MUTA FINAL “BYE―BYE”」(横浜アリーナ)で“魔界”に帰還した。
“ムタの父”ザ・グレート・カブキ(74、本名・米良明久)さんは、ムタの最後の花道を、隈取りメイク姿で先導し、毒霧噴射とヌンチャクの舞いを披露した。2017年12月22日の引退後もビッグマッチ限定で登場し、入場パフォーマンスとセコンドでの毒霧アシストで盛り上げてきたカブキさん。
武藤氏もメイクと毒霧ぐらいなら許されるか。ムタになってでもリングに現れてほしい…。そんなことを考えていると、あの男の存在を思い出した。7回引退し7回復帰した“邪道”大仁田厚(65)だ。武藤氏のムタをパクった“化身”グレート・ニタが、この“武藤特需”を利用しないはずがない。夢想するのはもうやめにしておこう。(酒井 隆之)
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