「一番大事なのは命で、その次が健康で、以上!」…大橋未歩アナ、夫の米国行き帯同のため全番組降板の裏側

3月いっぱいでの「5時に夢中!」降板を明らかにした大橋未歩アナウンサー
3月いっぱいでの「5時に夢中!」降板を明らかにした大橋未歩アナウンサー

 その決断を聞いた時、「えっ、今?」と思うと同時に、いかにも「らしい」決断だなとも感じた。

 元テレビ東京でフリーの大橋未歩アナウンサー(44)が20日放送のTOKYO MX「5時に夢中!」(月~金曜・午後5時)に生出演。2019年4月から4年間に渡って月曜から木曜のアシスタントを務めてきた同番組からの“卒業”を発表した。

 17日に一部ネットメディアが夫で元テレ東プロデューサーの上出遼平氏(34)の渡米に帯同するため、今春にはレギュラー番組全てから降板し、休業すると報じた大橋アナだったが、直後に自身のツイッターを更新。「休業しませんよん」と否定した。

 その上で「応援してくださっている皆様には、ちゃんと自分の口から #gojimu でお話させていただきますね」と、20日の放送で自身の言葉で説明するとしていたのだった。

 そして、迎えた生放送の冒頭、この日のテーマ「世界を視野に入れている人はいますか」について聞かれると、「いますね。多分、私です」と即答。コメンテーターのマツコ・デラックス(50)が「あるいはダンナです」と突っ込み、MCの垣花正(51)が「ネット記事などで話題になってましたけど」と聞くと、「夫と修業の場を世界にも広げていこうという話をしておりまして、準備をしている段階なんですけれども」と答えた。

 「週4日の生放送を担当させていただいていると、そちらの準備に時間がさけないので、本当に大好きな番組で寂しいんですけど、3月をもって卒業…」と、しんみりと話したところで垣花が「寂しいって、うそくさいでしょ」とツッコミ。これに対し、「寂しいよ! 寂しいでしょ。MCがフォローして下さいよ!」と返し、改めて「3月で卒業させていただくことになりました。仕事は続けていくので、これからも応援していただけたら、うれしいです。よろしくお願い致します」と頭を下げた。

 垣花が「休業というのは間違ってるんですね?」と「そうです」ときっぱり。

 「完全に向こうに移住するってことよね?」と聞いたマツコに「結構、夫も先まで決まっている仕事があったりして、完全移住という形ではないけど、行ったり来たりするので。先のことは分からない。時期も未定」と返答。この言葉に、マツコは「すごい、本当に。冒険家よね」と、つぶやくしかなかった。

 「根無し草夫婦なんですが、夫婦ともども、これからもよろしくお願いします」と殊勝に話した後、カメラに向かって「違う?」と問いかけ、笑わせた同アナ。

 マツコに「ダンナについていこうってわけだから、冒険家でもありながら愛に生きる女」と言われると、「いろんな人生経験を経てますので、今回はしっかり家族といたいと思ってます」とスタジオを爆笑させた。

 番組最後にも「語学も受験以来なのでアメリカ人の弁護士さんとのやり取りにも今、すごく苦労してます。読み書きみたいなのは受験(レベル)で」と明かし、マツコに「すごいわよ、本当。うらやましい。そんな勇気ないわ、私。1回の人生だから、その方が楽しいと思う。やれるだけ楽しみな、人生を。結局、こんな仕事やってると自由に生きてるように見えるけどさ。そうじゃないじゃない。だから、すごいなと思う」と称賛される場面もあった。

 翌21日の生放送でも火曜コメンテーターの北斗晶(55)に「めっちゃカッコ良くない? 今、大橋未歩、めっちゃ売れてるからね。それを捨てて行くのは、すごくカッコいい」と言われ、「優し~」と照れ笑いを浮かべた同アナ。

 一報を聞いた時に感じた私の「えっ、今?」という驚きも「もったいないな」という思いも、北斗が代弁してくれた形だった。

 「5時夢」以外にも3月いっぱいで番組が終了する日本テレビ系「スッキリ」(月~金曜・午前8時)の隔週コメンテーターや各バラエティー番組に引っ張りだこの売れっ子が休業こそしないものの、夫とともに渡米。長期間、仕事をセーブすることは北斗の言葉で言えば、「めっちゃ売れてるのに、それを捨てて行く」ように見える。

 だが、同時に「らしい」と思った理由。そこには昨年6月末、東京・半蔵門のTOKYO MXまで押しかけ、「5時夢」の生放送終了直後の同アナに1時間にわたって話を聞いた際に持ったある印象があった。

 17年にテレ東を退社し、フリーに転身。順調に現在の「売れっ子」としての地位を築いた同アナには生死の境をさまよった経験がある。

 スポーツ、情報番組、そして報道と見ない日はないほど「局の顔」として活躍していたテレ東時代の13年、軽度の脳梗塞を発症し、8か月に渡って休職。右首の内頸動脈解離が脳梗塞の原因だったため、現在でも首の動脈にはチタンが埋め込まれている。

 「会社を8か月離れたというのは、すごく自分の中で大きかった。自分がいなくても会社はちゃんと回るんだというのを目の当たりにした時に自分の傲慢さというものを突きつけられた気がしました。(エースアナと)思っちゃってたんですね。そこで、すごく反省しました。穴の空いた時に誰かがその穴を埋めてくれる。その社会システムがあることこそが健全なのだと思い知らされました。自分が休んだことで教えていただきました」と正直に振り返った同アナ。

 「人生の優先順位が本当に明確になりました。それまでは出世とか社会での名声とかに興味があったかも知れないんですけど、脳梗塞の後には一番大事なのは命で、その次が健康で、以上!ってなりましたね。人間としての軸が整ったなと思いました」と人生観の変化も明かしてくれた。

 今思い返せば「一番大事なのは命で、その次が健康で、以上!」という言葉。それこそが、同アナの行動原理だと気づく。

 大橋アナ自身も売れっ子だが、テレ東時代の10年後輩で15年に結婚した上出氏は今をときめくフリープロデューサー。テレ東時代の19年にグルメドキュメンタリー番組「ハイパーハードボイルドグルメリポート」でギャラクシー賞・テレビ部門の優秀賞を受賞するなど全く新しいテレビ番組の作り手として知られ、昨年も長澤まさみ主演ドラマ「エルピス―希望、あるいは災い―」のエンディング映像を制作するなど話題を振りまいている。

 確かに現在、自分への出演オファーも多いが、今は夫の映像作家としての米国での挑戦を妻として、パートナーとしてサポートしよう。命、健康とともに大事な家族・夫を支えること。それは今しかできないことだから―。

 単独インタビュー時に「テレビと自分との関係だけを考えて仕事をするのではなくて、社会と自分との関係を考えて今まで仕事をしてきたつもりです。テレビ露出ももちろん大事だと思うんですけど、今はプラットフォームも増えてますし、活動できる場所も多様化してますし、自分が社会にとって、どういう存在でありたいかを考えることが大切かなと思います」と答えてくれた大橋アナは、そういう考え方をする人だと、私は思う。

 昨年のインタビューの最後には、こんな言葉も口にした。

 「自分に嘘はつかないように。それを大事に活動しています」―。

 今回の大きな決断を聞き、7か月前のそんな言葉を思い返した時、私も記者としてではなく、一人の人間として思った。

 一番大事なのは命と健康。そして家族。人生にそれ以上、何が必要なのだろう。(記者コラム・中村 健吾)

 ◆大橋 未歩(おおはし・みほ)1978年8月15日、兵庫県神戸市生まれ。44歳。95年、16歳の時に阪神淡路大震災で被災。02年、上智大法学部在学中、ミスアナウンサーコンテストでグランプリ獲得。同大卒業後、テレビ東京に入社。スポーツ、バラエティー、情報番組中心に多くのレギュラー番組で活躍も13年、軽度の脳梗塞を発症し休職。約8か月の療養期間を経て、同年9月に復帰。17年12月、同局を退社。18年3月からフリーで活動開始。19年4月からTOKYO MX「5時に夢中!」にアシスタントMCとして出演中。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士取得。20年から厚生労働省循環器病対策推進協議会委員も務める。夫は10歳年下の元テレ東プロデューサー・上出遼平氏。趣味は山登り。

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