種牡馬展示会リポートを続ける。9日はブリーダーズ・スタリオン・ステーションで開催され、2度の香港ヴァーズ制覇など国内外で活躍したグローリーヴェイズがスタッドイン。社台スタリオンステーションから移動してきたサトノアラジンを含め、15頭が展示された。
グローリーヴェイズはディープインパクト後継種牡馬の中で唯一、スウェプトオーヴァーボードを母の父に持つ。自身はチャンピオンディスタンスに強かったが、直線平坦の京都コースでG2を2勝しているように、ディープ産駒らしい瞬発力を備えていた。駆け付けた尾関調教師は「この馬の充実期に得意の京都がスタンド大改修で走ることができず、本来なら国内でもG1制覇も…という思いがありますが、その夢は子供たちに託したいと思います」と、生産者にアピールした。
約1週間、けい養種牡馬をゆっくり見ることができるオープンハウスの形で実施されたダーレー・ジャパンスタリオンコンプレックスでは、ウィルテイクチャージが導入された。13年トラヴァーズSなど米G1を2勝。昨年、ゼアゴーズハーバードが産駒初のG1馬となり、海外での評価が高まったタイミングで輸入された。日本で出走した5頭のうちヘルシャフトなど4頭がJRAで2勝以上を挙げており、日本競馬への適性は高い。13歳とベテランの域に入り、落ち着いた雰囲気と馬格に恵まれた本馬には続々と問い合わせがあり、国内初年度から楽しみな種牡馬と言える。
10日は静内地区。まずはJBBA静内種馬場で、カラヴァッジオを含む9頭がお披露目された。早世したスキャットダディの希少な国内後継種牡馬。スキャットダディ産駒の国内G1馬で、すでに種牡馬入りしたミスターメロディの人気ぶりを考えれば、種牡馬としての実績を引っさげて導入されたカラヴァッジオに対する期待は膨らむ。持ち込みの産駒アグリは3連勝の勢いで26日の阪急杯に出走予定。また、地方競馬全国協会の競走馬生産振興事業に対する補助事業が活用された初の種牡馬で、仕上がり早、スピード、芝ダート問わない適性を見定めての導入となった。多くの配合申し込みがあり、早々に満口となった。
アロースタッドでは4頭の新種牡馬を含む32頭が展示され、YouTubeでその様子がライブ配信された。ステルヴィオはロードカナロア産駒で最初に誕生し、最初に勝ち上がった“長男”。18年マイルCSを制し、牝系をたどれば、5代母にシンボリルドルフの母であるスイートルナがいる名牝系だ。ジャンダルムは昨年のスプリンターズSで母子制覇をかなえ、待望の種牡馬入り。キトゥンズジョイ×ビリーヴというスピード豊かな配合と恵まれた馬格に、多くの関係者が注目していた。
サンライズノヴァは19年南部杯の覇者。ワンターンのレースに強く、ゴールドアリュール後継の馬産地での人気ぶりから評判は上々だった。カデナは芝、ダートを問わず、息の長い末脚でファンを魅了したディープインパクト産駒。半兄のスズカコーズウェイもアロースタッドでけい養され、地方の活躍馬を送り続けている。
レックススタッドでは、5頭の新種牡馬を含む27頭が展示された。オメガパフュームは東京大賞典で国内初のG14連覇を成し遂げたスウェプトオーヴァーボード産駒。千葉セリ出身で、3歳から7歳まで国内ダート界を牽引したタフさと、今や貴重と言えるエンドスウィープ系種牡馬で、50万円(受胎条件)というリーズナブルな種付料もあって大人気だ。16年日本ダービー馬のマカヒキは21年京都大賞典で復活勝利を収めるなど、長きにわたってビッグレースを戦い抜いた。友道調教師は「20年以上の調教師生活の中で、デビュー前から威風堂々とした競走馬としてのオーラを感じた最高の馬と言えるほど素晴らしい馬でした。マカヒキの子供で、うちの厩舎でもう一度ダービーを勝ちたいと思っています」と、生産者に向けてエールを送った。
ホッカイドウ競馬の一時代を築いたスーパーステションは、希少とも言えるカネヒキリの後継。4代母にウイニングカラーズがいる名牝系で、今後のダート界で一発の魅力を秘める種牡馬になりそうだ。輸入種牡馬のストラクターは、19年ブリーダーズCジュベナイルターフの優勝馬。カーリン直系の種牡馬として国内唯一であり、馬体や母系からダートでの活躍も期待される。クロフネ唯一の後継種牡馬となるパクスアメリカーナは全姉にホエールキャプチャがいる優れたファミリーで、19年京都金杯を制した。(競馬ライター)
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