武藤敬司、現役最後のインタビュー【上】引退試合で内藤哲也を指名した理由…連載「完全版さよならムーンサルトプレス伝説」〈36〉

スポーツ報知
武藤敬司

 プロレス界のスーパースター武藤敬司(60)が2月21日に東京ドームでの内藤哲也戦で引退する。新日本プロレスに入門した1984年10月5日のデビューから全日本プロレス、WRESTLE―1、プロレスリング・ノアと渡り歩き常にトップを驀進したカリスマ。さらに化身のグレート・ムタでは全米でトップヒールを極めるなど世界で絶大な人気を獲得した。スポーツ報知では38年4か月に及ぶプロレス人生を「完全版さよならムーンサルトプレス伝説」と題し1月14日から連載中。36回目は、現役最後のインタビュー【上】引退試合で内藤哲也を指名した理由。(取材・構成 福留 崇広)

 スポーツ報知は、18日にタブロイド新聞「武藤敬司 引退特別号」(税込み480円)を発売した。オールカラー20ページで特大ポスターが付いた新聞では、38年4か月のプロレス人生を振り返る武藤のインタビューを掲載した。このインタビュー記事は、紙面限定でネット配信はしない。ただ、昨年12月に取材したため、引退試合で戦う内藤哲也への思いは聞くことはかなわなかった。今回の「現役最後のインタビュー」は今月12日のプロレスリング・ノア大阪大会で取材。「引退特別号」のインタビュー続編として3回に渡り展開する。まず、武藤に内藤哲也を引退試合の相手に指名した理由を聞いた。

 ―新日本の1・21横浜アリーナで引退試合の相手を内藤に指名しましたが、その理由は?

 「選んだ要因っていろいろあるんだよ。あいつの中にある武藤LOVEを感じるしね。あいつとなら熱い試合ができるんじゃないかと思ったりさ。その中でプロレスっていうビジネスという部分でリサーチもしたんだ。そうすると、内藤が一番集客力がある。そこが選んだ一番のポイントだよ」

 ―他に候補はいた?

 「ぶっちゃけ、棚橋(弘至)とか、ノアの選手も挙がったよ。その中でドームという箱を埋めるためにはいろんなモノが用意されないと無理なんだよ。集客力、オレとのストーリー…全部考えた上での内藤なんだよ」

 ―はい。

 「他の候補だと、例えばオカダ(カズチカ)は、天龍(源一郎)さんの引退試合(2015年11月15日、両国国技館)をやったりしているしね。棚橋とは引退を発表してから、対戦したりタッグを組んだり何回か絡んでいた。そういう中で内藤が一番新鮮だったよ」

 ―内藤の魅力は?

 「あいつらのグループ(ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン)とか支持を集めているし人気もあるところだよな。ただ、オレも、あんまり内藤、内藤ってまじまじ見ているわけじゃないからさ。あいつとは前に対戦(2012年1月4日、東京ドーム)したころは、オレのマネをして、当時はそんなに人気もなかったらしいけど、それを取っ払ってからは、すごい人気もある。支持されてるってことはそれなりの要因を持っているわけで、そこが魅力だよ」

 ―最後の相手が内藤に決まってファンの間では賛否もあります。

 「賛否?そんなもんねぇよ。ファンは、がっかりしてないよ。がっかりしてないから発表した翌日にチケットはすぐに5000人売れたらしいよ」

 ―私は、ザ・ロックとの夢対決を期待していました。

 「ロックも考えたけど、交渉したら桁違いの金額を言われて無理だったよ。その中で、きっとロックが来たところで、話題にはなるけど、プロレスファンがドームまで足を運ぼうって、そこまではまらないんじゃないかって思ったりするよ。やっぱり、内藤の方がファンが足を運ぶからね。ロックは一般大衆には響くけど、その大衆ってオレが思うにドームに足を運ばないんじゃないかって思うんだよ」

 ―師匠のアントニオ猪木さんは、プロレス界という「環状線」の外にいる大衆を引きつけろという「環状線理論」を掲げていましたが、そこは違うんですね。

 「そうだよ。オレは実も選ぶからさ」

(続く)

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