17日の金曜ロードショー(後9時)は、アニメ映画「怪盗グルーの月泥棒」(2010年)が本編ノーカットで登場。主人公・グルーよりも人気?の黄色い不思議な生き物・ミニオンズが、日本テレビの”ライバル”であるフジテレビが製作する映画のオープニングロゴに使われていることから、何となく不思議な感覚があるが、24日の「怪盗グルーのミニオン危機一発」と2週連続で「ミニオンズ」シリーズが放送される。
本作は、「SING/シング」シリーズなどで知られ、いまやディズニー/ピクサーと双璧をなすアニメ製作会社「イルミネーション」の初映画作品。公開時には配給するユニバーサル・ピクチャーズとしては初の3D作品として公開された。残念ながらテレビでは、3D映像を楽しむことはできないが、立体的な動きや”カメラワーク”を使ったシーンが多く、劇場で見た時にはその技術が存分に発揮された作品と感じたことを覚えている。
物語は、悪党のグルーがバナナでできた仲間のミニオンたちと月を盗む計画を立てるものの、そのままの大きさでは手に入れることができないため、まずは「縮ませ光線」という銃を手に入れようとするところから始まる。だが、その銃はライバルの泥棒・ベクターに奪われてしまった。グルーはベクターから銃を盗むため、彼の自宅に出入りしていた養護施設でクッキーを売りながら生活するマーゴ・イディス・アグネスの3姉妹を養女として迎え入れるが…。
原題の「Despicable Me」は、訳すと「卑怯(ひきょう)なオレ」といったところか。それを「怪盗グルー―」という邦題を付けたことで、ターゲットである子供たちが興味と親しみを持てるようになったことは間違いない。外国映画の邦題は、「何じゃこりゃ?」と感じさせることもままあるが、本作に関しては成功しているといっていいだろう。何よりグルーが、言うほど「Despicable」ではない。
グルーの吹き替えを担当しているのは笑福亭鶴瓶。「なんで関西弁なんだ?」という突っ込みはさておき、吹き替え挑戦が初めてとは思えないほどの好演は、さすがといったところ。ただ、それ以上のインパクトを感じさせるのが、3姉妹の末っ子・アグネスの声優を務めた芦田愛菜だ。
公開当時は、まだ6歳。同年の4月に日テレ系ドラマ「Mother」に出演し、「天才子役」として注目をされ始めた直後で、その名前が全国で知られるようになったフジ系ドラマ「マルモのおきて」の放送よりも前の「仕事」だったが、”父親”のグルーに甘えるセリフや、天真爛漫(らんまん)に楽しむシーンなどを表現豊かに演じている。
姉役のマーゴは「ハリー・ポッター」シリーズのハーマイオニーの吹き替えで知られる須藤祐実、イディスは「クレヨンしんちゃん」の主人公・野原しんのすけをはじめ、吹き替えでも子役を多数経験している矢島晶子と、いずれも実力派の声優が担当。その2人を相手に、勝るとも劣らないほどの「演技」を見せている。現在、18歳になった芦田は変わらずの活躍を続けているが、その実力の片りんを楽しんでもらいたい。(高柳 哲人)
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