東映は14日、代表取締役社長の手塚治(てづか・おさむ)氏が死去したことを発表した。2021年6月に病気療養のため、通院治療を行いながら仕事を続けることを公表していたが、62歳という若さだった。通夜・告別式は近親者で営む。喪主は母・手塚美津子(てづか・みつこ)さん。後日、お別れの会を行う予定。
手塚氏は、コロナ元年の20年6月に多田憲之会長の後を受け、社長に就任。83年に東映入社後はドラマ畑一筋で「スケバン刑事」「科捜研の女」のヒット作を手掛け、歴代の東映社長では異色の経歴だった。温厚な人柄で多くの社員からも慕われていた。
1月31日に行われた日本映画製作者連盟(映連)の新年会見にも出席。大手映画会社のリーダーが顔をそろえる中、東映はアニメ作品が好調で約326億円の史上最高興収を記録したことに「先輩方の積み重ねが、花開いた。さらにこれまでと違う作り方を丁寧に考えた結果」と語った。
さらに23年に向けても「バラエティーに富んだ作品を編成して、さまざまなジャンルにわたり、お客様の心に残る感動体験としてお届けできるよう魅力ある作品を作りたい」などと話し、口調は力強かっただけに訃報の衝撃は大きい。なお社長は、多田会長が兼務することも発表された。
◇手塚治(てづか・おさむ)1960年3月1日、千葉県生まれ。62歳。83年青学大文学部卒。同年、東映入社。「スケバン刑事」「京都迷宮案内」「科捜研の女」などの人気シリーズを手掛け、「ときめきメモリアル」「大奥」では映画も担当。2010年執行役員、12年取締役、16年常務に。漫画家・手塚治虫さんとは1字違いだが、本紙の取材に「偶然で縁戚関係はありません」と答えていた。