J2清水エスパルスは8日、三保で開幕戦(18日、対水戸、アイスタ)に向けて調整した。昨夏、オーストリア・ラピッド・ウィーンから復帰し、19年以来となる開幕スタメンを狙うFW北川航也(26)はミニゲームで豪快な右足ミドルを披露。他の攻撃陣も好調を維持する中、開幕前最後の実戦(11日、非公開)で一発回答して先発をたぐり寄せる。
味方もスタンドのファンもどよめいた。6―6のミニゲーム、北川は中央やや左よりの位置でボールを持つと右足を豪快に振り抜いた。弧を描いたミドルがネットに刺さる。「ゴールにつながるプレーは常に意識しているし、ゴール前で脅威になっていかないと」。目の覚めるような一撃で猛アピールしてみせた。
FW陣の争いは激化している。昨季J1得点王のFWチアゴサンタナが4日の磐田戦でゴール。練習試合で計4得点のFWディサロは、この日のミニゲームでも頭で2発放り込んだ。ゼ・リカルド監督(51)は今週末に控える開幕前最後の実戦について「できるだけ本番を意識した形で取り組む」と明言し、先発を絞り込む方針だ。ここまでの公開の実戦では不発の北川は「今週末は第0節と思っている。できるだけ長くゲームに出たいし、強みを最大限出していきたい」と完全な“戦闘モード”に入ってゴールを狙っていく。
夏に古巣復帰した昨年は10試合1得点にとどまった。「今年はドリブルで運ぶこと、1人でも2人でも(DFを)はがすことに取り組んできた。引いた相手でも自分がはがすことができれば、味方のスペースが空いてくる」。チームはベースの4バックに加え、キャンプ中に3バックも導入。「やることは変わらない。守備のスイッチを入れること。(攻撃では)背後への動きが求められる」。4バックでは2トップ、3バックではシャドーに入るが、いずれにせよ変わらず献身的に動く構えだ。
チームは公開の実戦で3連勝と上り調子。「もうシーズンは始まっている。全員でハードワークしていきたい」と語るストライカーが、攻撃を引っ張っていく。(武藤 瑞基)
〇…DF山原はキャンプから取り組む3バックに前向きだ。攻撃的左サイドバックはこれまでより高い位置を取ることになるが、「筑波大でもやってきた。(危険なエリアに)侵入していく、自分の特徴を出せる」と話した。今季はリーグの42試合に加え、天皇杯やルヴァン杯もある。「戦い方の選択肢を増やすのは大事」。6対6のミニゲームでは、力強いシュートを放ち、好調をアピール。今季もサイドで存在感を見せる。