米音楽界最高の栄誉とされる「第65回グラミー賞」の発表・授賞式が5日(日本時間6日)、ロサンゼルスで開催され、作編曲家の宅見将典氏(44)のアルバム「SAKURA」が、最優秀グローバル・ミュージック・アルバム賞を受賞した。西洋圏以外の古典音楽や、英米を除く伝統的な民俗音楽などに贈られる同賞の受賞は、日本人で初めて。
2018年に死去した歌手の西城秀樹さん(享年63)の実姉の息子で、西城さんのおいにあたる宅見氏は授賞式の壇上で「何も用意していなかったので言葉が出てこない。家族や関係者に感謝を伝えたい」と驚きと喜びが入り交じった表情をみせた。
大阪府出身で、作編曲家やプロデューサーとして活動する宅見氏は、西城さんの「心ころころ」(07年)、EXILEの「愛すべき未来へ」(09年)など多くの楽曲を手がけ、AAAの「CALL」(11年)やDA PUMPの「P.A.R.T.Y.~ユニバース・フェスティバル~」(19年)では作曲、編曲で日本レコード大賞・優秀作品賞を受賞するなどしてきた。
「Masa Takumi」名義でリリースした今回の作品では、日本の伝統楽器である箏(そう)や三味線を中心に二胡(にこ)なども取り入れながら、桜の花の美しさやはかなさを表現した。宅見氏は「今、世界中でたくさんの悲しい出来事が起こっています。そんな中、誰もが持つそれぞれの心の中にある美しい花を咲かせてほしいと願ってこの作品を作曲しました」と振り返りつつ、「日本の伝統楽器である箏、三味線のみならず、二胡やバンブーフルート、世界各国のパーカッションなども取り入れて創り上げたこの『Sakura』が、皆さんの心の中で咲くことを願っています」と楽曲に「世界平和」への思いを込めたことも明かした。
◆DA PUMPISSA「うれしい」 DA PUMPのISSA(44)は、所属事務所を通じ「本当にうれしい限りです!」と祝福。楽曲提供を受けた「P.A.R.T.Y.~ユニバース・フェスティバル~」は劇場版「仮面ライダージオウ」主題歌で、ライダーファンからは「平成」の愛称で親しまれている。「この作品のミュージックビデオはニューヨークで撮影した思い出の一曲です! 更なるご活躍を楽しみにしてます!」と喜んだ。
◆小川慶太3度目快挙 ○…日本勢では他に、長崎県出身のドラマー・小川慶太(40)が参加するバンド「スナーキー・パピー」の「Empire Central」が、「最優秀コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム賞」を受賞。小川は、同バンドの一員として17、21年に続く3度目の快挙となった。また、授賞式ではこの1年に亡くなった音楽関係者を追悼。1月に70歳で死去した「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」のドラマー・高橋幸宏さんの写真もスクリーンに映し出された。
◆ビヨンセは4部門 ○…米歌手のビヨンセ(41)が最優秀ダンス・レコーディング賞など4部門で受賞。通算受賞数を32とし、英指揮者のゲオルク・ショルティ氏(享年84)を抜いて歴代トップになった。最優秀アルバム賞は英国出身のハリー・スタイルズ(29)の「ハリーズ・ハウス」、レコード賞はリゾ(34)の「アバウト・ダム・タイム」、楽曲賞はボニー・レイット(73)の「ジャスト・ライク・ザット」が選ばれた。複数の賞でノミネートされていた韓国の男性グループ「BTS」は受賞を逃した。
◆宅見 将典(たくみ・まさのり)1978年11月14日、大阪市生まれ。44歳。バンド活動を経て作曲やプロデュースを手がける。ドラムやギター、ベース、ピアノを演奏し、作風はダンスミュージックやJポップなど幅広い。ヒット曲に「KARA」の「サンキューサマーラブ」など。