今季から新井貴浩監督が指揮を執る広島は、5日に宮崎・日南キャンプ第1クールを終えた。4日には球団アドバイザーに就任した黒田博樹氏もキャンプに合流。観客制限がなくなったこともあるが、例年以上の活気を感じさせた。その中心には、常に新井監督がいた。
第1クール最終日、ランチ特打の打球音だけが響く静かな球場に突然、低い声の場内アナウンスが流れた。声の主は指揮官。秋山、菊池、マクブルーム、新外国人デビッドソンの4人を一人ずつ紹介。「ランチ特打をしているメンバーは当~然、しっかりやってくれると思うので、皆さん応援よろしくお願いします」と、4人に対するゲキを交えながら、最後は「MC野間でした」と締めくくり、ファンの爆笑を誘った。
キャンプ初日、指揮官は「今の立場はしっかりと選手を見ること。目が疲れるぐらいまで見たい」と語った。だが、実際は「見る」だけにとどまらなかった。若手だけでなく、ベテラン秋山に対しても、求められる形で約20分間、グラウンド上で身ぶり手ぶりで指導。連日ブルペンにも足を運んで打者目線という違った視点からアドバイスを送る姿に、投手陣から「新鮮」という声も聞こえてきた。
選手には、秋季キャンプから伝えてきた「お前たちが思っているより、俺はお前たちみんなに期待している」という思いを行動で示した。ファンに対しても同様だ。「ファンも“家族”」という思いはキャンプ初日から一日も欠かすことなく実施した即席サイン会に表れていた。第1クールからグラウンド内外で“新井イズム”を存分に発揮された。
第1クールは離脱者も出なかったことで、指揮官は「100点」と総括した。第2クール以降は、より実戦形式が増えることで、選手それぞれの「結果」も見えてくる。2軍も7日から、山口・由宇練習場から日南の東光寺球場に場所を移してキャンプを行う。1、2軍の入れ替えを含め、17日からの沖縄行きをかけたサバイバルも本格化。新井監督から主役の座を奪う選手の登場が期待される。