対戦型パズルゲームのセガ公式eスポーツ大会「ぷよぷよチャンピオンシップ SEASON5 STAGE4」が4日、東京・台東区の浅草橋ヒューリックホールで開催された。会場が満員に埋まる中、予選を通過したトッププロ16人がトーナメントを戦い、ベテランプロのくまちょむ選手が4年ぶりの優勝を果たした。
熟練の“ぷよらー”が決勝戦で激突した。41歳のくまちょむ選手に対するは、33歳のTom選手。ともにぷよぷよの競技シーンを草創期から支えたレジェンドで、2011年に行われた「100勝先取」をルールとする別の大会では100―99でくまちょむ選手が勝利。それ以来12年越しのリベンジに燃える相手との“再戦”となった。
この日の決勝戦は5勝先取の2セットマッチ。12年前の伝説の一戦を再現するように、一進一退の攻防となった。お互いに攻撃型で、大連鎖の種を構築しながら小さい連鎖も駆使して積極的に攻めていく。
第1セットでは、4―4で迎えた第9ゲームで中盤の連鎖の打ち合いから勝利を確信したTom選手が試合中にガッツポーズ。これを見て「あきらめの気持ちもあった」というくまちょむ選手だが、直後「1000試合に1回もない」という引きの強さを見せ、カウンターの10連鎖を決めて大逆転。5―4でセットを奪い、勢いに乗った。
第2セットもフルカウントまでもつれたものの、終始冷静に“ぷよ”を積み重ねたくまちょむ選手がセット連取。チャンピオンシップでは4年ぶりの勝利をつかんだ。「今日は第1試合からずっと綱渡りで、自分の状態を修正していくことを意識していました。(決勝戦では)相手がバクチ的に攻めてきていたら危なかったですね」
努力と探究の人だ。「(プロが創立された)2018年ころから研究を続けています。どこから“ぷよ”を置くか。どのように置いたら効果的なのか。机の上に付せんを置いて、メモを取りながらゲームをしています」。若いプロプレーヤーに押され、勝てない時期も長かったが「自分の研究がうまくいっているのかを証明するためには、大会で成績を残さなければいけない。周囲には2~3年かかるかも、と言っていましたが、4年もかかってしまいましたね」と笑う。
今回の優勝で、3月4日に鹿児島で開催される年間王者決定戦「ぷよぷよファイナルズ」への出場権もつかんだ。20歳代を中心とした若いトッププロとの対戦となるが「直近の大会の優勝者としては、恥ずかしい試合はできないですね」と気を引き締めた。
賞金の100万円の使い道を聞くと、「ぷよぷよの発展につながることに使います」と即答した。「研究の成果を大会で発揮するのが本当に楽しい。さらに研究を重ねて、このゲームがどのくらい奥深いのかを突き詰めていかなくては」。41歳のベテランプレーヤーは、“ぷよ”も“研究”もこれからもずっと積み重ねていく。