ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表に選出されているヤクルト・村上宗隆内野手(23)が3日、沖縄・浦添での春季キャンプでフリー打撃を行い、衝撃のスコアボード破壊弾を放った。72スイングで24発のサク越えを放ち、スコアボード直撃で液晶画面を破壊する特大アーチも披露。自慢のパワーを見せつけた侍ジャパンの主砲は、3月に開幕するWBCへ向けて、臨戦態勢を整えていく。
「ドンッ」と鈍い音が響くと同時に、白球と一緒に黒い物体が落下した。大きな弧を描いた村上の打球はスコアボードの液晶画面上部を直撃。液晶画面は打球が当たった付近だけ暗くなり、壊れたパネルが落下した。スコアボードの上で弾んで場外に飛び出した前日の特大アーチに続く、推定140メートルの“破壊弾”で客席の視線を独占した。
この日は、72スイングで24発。その54スイング目で、驚異の一発が飛び出した。規格外のパワーを見せつけた村上は「慣れてきたので、いい感じです」と手応え十分の様子。球場の管理事務所スタッフは「(破壊は)なかなかないこと」と目を丸くした。修理費用は約10万円だというが、部品の在庫があったため、数時間後には液晶画面も修復された。
WBCへ調整の階段を一段飛ばしで駆け上がっている若き主砲。その仕上がり具合に、高津監督は「オフの間にバットを振ってきたんだろうね。もっと上がっていくと思う」と太鼓判を押した。
第1クール最終日となったこの日は、キャンプ初となる特守にも参加。バットをグラブに持ち替え、右に左に揺さぶられながら、白球に食らいついた。最大の武器は敵知らずの打力だが、ゴールデン・グラブ賞もひそかに狙っている背番号55。「守備もしっかり上達して、迷惑をかけないように」と攻守でチームをけん引していくつもりだ。
第1クールを終えて「(疲労度は)ぼちぼち。ちょっと疲れたな、って感じ」と肩の力を抜いた。4日は、高津監督の意向で、全員自主練習なしの“完全休養日”となった。「あしたしっかり休んで、また明後日からいい感じで練習できるように頑張りたい」。17日から始まる侍ジャパンの合宿(宮崎)へ向けて、例年よりも早めの調整が強いられるが、若きスラッガーは世界の頂だけを目指し、鍛錬を重ねていく。(森下 知玲)
◆球界の“破壊”アラカルト
▼電光掲示板 ソフトバンク・柳田が15年6月3日のDeNA戦(横浜)でスコアボード右上部を直撃する破壊弾。大型ビジョンは当たった部分だけが消え、真っ黒になった=写真上=。岡本和は18年のG球場での練習でバックスクリーンの20メートル上にある電光掲示板を破壊する推定160メートル弾。ボール1個分の穴があいた。
▼街灯 柳田が19年のキャンプ中に街灯直撃の場外弾。
▼車 17年の巨人・那覇キャンプでギャレットが場外弾。球場外に駐車してあった車のフロントガラスが割れた=同中=。19年の同キャンプでもゲレーロが3発の場外アーチを放ち、いずれも駐車場の車に直撃。
▼窓ガラス ロッテ・井上が15年、石垣島キャンプの室内練習場での打撃練習で壁の上部にある窓ガラスを割った=同下=。
▼防球ネット 巨人・ポランコが22年3月のG球場での初練習中に、痛烈な打球で4メートルほど離れた防球ネットを突き破った。