15歳ドルーリー朱瑛里、異例の出場見送り 報道各社にお願い「そっと見守って」環境の変化に不安

ドルーリー朱瑛里
ドルーリー朱瑛里

 女子駅伝界の超新星、中学3年のドルーリー朱瑛里(しぇり、15)=津山・鶴山中=が3日、異例の出場見送りを発表した。急激な環境の変化により、競技に集中できず、5日の全国中学生クロスカントリー大会(滋賀・希望が丘文化公園)を欠場することを、代理人弁護士を通じて報道各社へFAX文書を送付した。本人のコメントも掲載され、精神的に疲れが出たことをうかがわせた。

 一気に世間の注目を集めたスーパー中学生の苦渋の決断だった。ドルーリーは文書で発表したコメントで「クロカンは走ったことがなく、挑戦したい気持ちで申し込みをしましたが、先日の駅伝を経験して、報道の方々への対応や、周りの方々からの撮影や声かけの対処にとても不安を感じましたので、やむを得ず」と異例の欠場理由を記した。

 1月15日の全国都道府県対抗女子駅伝。17人抜き&区間賞の爆走で一躍脚光を浴び、同29日の「晴れの国 岡山」駅伝競走大会は大会過去最多の報道陣や観客が押し寄せた。それでも3区に登場したドルーリーは3人を抜き、区間新記録を樹立。声援を背にスター性の高さを印象づけた。だが、同日の取材では「注目されすぎるのはあまり好きではない…」と苦笑いで困惑していた。

 周囲の喧騒(けんそう)を受けてこの日、文書で「練習が以前のように自由にできなくなり、過度な報道で精神的にも疲れることが多かった」と素直な心境を告白。一部雑誌記者が近所や関係者、同級生宅へ取材に訪れたことに「周りの方々に迷惑をかけることはしたくありません。過度な取材は今後控えていただきたい」と懇願した。SNSへの無断投稿も「肖像権を無視して動画等をインターネットに上げる行為はやめていただきたい。今後もっと無断で撮影されることが増えていくのではないかと考えると、とても不安」と揺れる胸中を明かした。

 その上で、今春入学する高校でも陸上は続けていく意向だという。「もっと記録を伸ばせるように、努力しようと思っています。私は可能な限り普通の生活をしながら、陸上を続けていくことを希望しています。もしどこかで見つけたとしても、動画を撮ったり、声かけは控えてほしいです。そっと見守っていただけるとありがたいです。次のレースで活躍できるように頑張ります」。伸びしろ豊かな多感期の逸材は、真っすぐに競技と向き合う。

 ◆ドルーリー朱瑛里(どるーりー・しぇり)2007年11月16日、岡山・津山市生まれ、15歳。小学4年生から競技を始め、当初は短距離中心。地域のリレーマラソンで中長距離の適性を見いだされ、小学6年時に県大会800メートル優勝。22年8月の全日本中学選手権女子1500メートルV。同10月のU16大会女子1000メートルで2分45秒84の大会記録をマーク。400メートルから3000メートルまでオールラウンドでこなし、目標は東京五輪代表の田中希実。カナダ出身の父を持つ。157センチ。

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