今年、放送50周年を迎える「ウルトラマンタロウ」。ウルトラの父、母の実の子供、という設定で「ウルトラ兄弟」「ウルトラファミリー」という概念を打ち出し、ネーミングを含め、親しみやすい印象で当時の子供たちから支持されました。スポーツ報知では40周年時の2013年、主演・東光太郎を演じた篠田三郎(74)を取材。撮影当時の思い出や作品への思いを聞きました。今回、このインタビューをWEBのみ5回に分けて再掲載します。タロウとの久々のツーショットも必見です。
(毎日正午更新。文中敬称略)
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若き日の、忘れ得ぬ作品である「―タロウ」。放送から40周年(インタビュー収録時)という節目を迎えて、篠田は何を思うのだろうか。
「子供が幼稚園に通っている頃、運動会で子供を背負って走る競技に出たんです。当時、うちの子は結構、体格が良くて重たかったから、フラフラになった。そうしたら、周りの保護者が『タロウ、頑張れ!』なんて声をかけてくれましてね。最近は撮影現場でも『子供の頃、タロウを見ていました』というプロデューサーが多いんです。光太郎を演じていた頃は、まさか40年も経って『―タロウ』についてのインタビューを受けるなんて思いもしなかったですよ(笑い)。皆さんから、今も『光太郎』『タロウ』と言っていただいて本当にうれしいですが、演技だってやっているかどうか分からないくらいのレベルだったのに声をかけていただいて…役者として本当に幸せだな、と思います。そんな作品、他にはありませんから。一生懸命に演じましたし、本当に楽しかった」
今回、インタビューを申し入れるにあたり、写真撮影の演出として、タロウとのツーショットが可能か、とたずねた。こちらの身勝手な申し出にもかかわらず、篠田はタロウとの“再会”を快諾してくれた。
「放送が終わってから、ツーショットなんて、なかなかないですよ」
こう話した篠田。インタビューが終わり、いよいよ自らの分身との対面となった。篠田の元に歩み寄ったタロウの手には、最終回で光太郎がウルトラの母に返した「ウルトラバッジ」が光っている。
タロウから再び「ウルトラバッジ」を託された篠田が言った。
「変身ポーズ、やってみましょうか…タロウーッ!」
高々と「ウルトラバッジ」をかざす姿は、我々が幼い頃に憧れた「東光太郎」そのままだった。=おわり
(2013年5月18日、報知新聞東京本社で収録)
〇…前作「―A」までの作品のオープニング映像は、キャラクターが影絵風に登場するものばかりだったが、今作ではZATの航空機・コンドル1号やスーパースワローが基地から発進するまでのプロセスを追ったもので、基地内を発進口まで移動するメカの映像に子供たちは胸を躍らせた。
〇…タロウの変身アイテム「ウルトラバッジ」はウルトラスチール製で、中央にウルトラルビー、光波エネルギー吸収装置を備えている。光太郎は、死んだ母にうり二つの「緑のおばさん」(ペギー葉山)に扮したウルトラの母から、これをお守りとして渡された。なお、ペギーの夫・根上淳は「帰ってきたウルトラマン」に防衛チーム「MAT」の伊吹隊長役で出演しており、夫婦で「ウルトラマンシリーズ」に貢献した。
〇…円谷プロ公式サブスク「TSUBURAYA IMAGINATION」では、有料プランに登録すると「ウルトラマンタロウ」のほか、ウルトラマンシリーズ(一部をのぞく)がいつでも見放題となっている。ファン必読の読み物や、ここでしか見られない配信限定作品など、オリジナルコンテンツも満載。