変身ポーズ、 自分で考えた…ウルトラマンタロウ・篠田三郎インタビュー〈3〉

スポーツ報知
変身ポーズをとる篠田三郎

 今年、放送50周年を迎える「ウルトラマンタロウ」。ウルトラの父、母の実の子供、という設定で「ウルトラ兄弟」「ウルトラファミリー」という概念を打ち出し、ネーミングを含め、親しみやすい印象で当時の子供たちから支持されました。スポーツ報知では40周年時の2013年、主演・東光太郎を演じた篠田三郎(74)を取材。撮影当時の思い出や作品への思いを聞きました。今回、このインタビューをWEBのみ5回に分けて再掲載します。タロウとの久々のツーショットも必見です。

(毎日正午更新。文中敬称略)

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 篠田演じる光太郎は「―タロウ」への変身時、左腕の「ウルトラバッジ」を外し、大きく両腕を広げてから、顔の前に差し出し、「タロウーッ!」と叫んで変身する。子供たちが皆、まねをしたこのポーズは、篠田自身が考案したものだ。

 「ほとんど僕に任せられた感じでした。『仮面ライダー』の放送が始まっていましたから、変身ポーズが取り入れられたんでしょうね。『―タロウ』の企画書を最初に頂いた時は、『ウルトラバッジ』は胸に付いていた。それが光ると…でも、ポーズを考えているうちに、腕に付けた方が動作がしやすいだろうと思いました。変えたんです。初めて披露した時ですか? 今だったら恥ずかしくて仕方ないでしょうが、当時は結構、自信過剰でしたからね(笑い)。特に注文を付けられることはなかったです」

 自ら考案した変身ポーズでタロウになり、怪獣を倒す…第1話の映像を見た時は、さぞや感激したのでは、と思うのだが…。

 「うーん…どんな事を思ったのか、ちょっと思い出せない。第1話はいろいろなシーンがたくさんあり過ぎましてね。光太郎がボクシングをするシーンがあり、1日か2日、ボクシングジムで練習したんです。『君、体が硬いねえ』なんてトレーナーに言われたり、船から飛び降りるシーンがあったり、撮影に追われていたことの方を鮮明に覚えていますね」

 では、シリーズを通して篠田の印象に残っているシーン、怪獣はどんなものなのだろうか。

 「怪獣キングトータスが出てくる回(第4、5話)【注1】、それにフィンガー5の曲に会わせて踊る怪獣(酔っ払い怪獣ベロン・第48話)【注2】とか…宮崎のえびの高原にロケに行った時(第12話)も忘れられないですね。制作の人の実家が日向にありましてそこでみんなでお茶を頂いたんですが、近所の子供たちがやってきて、『―タロウ』の歌の大合唱になりましてね。すごくうまくハモるんですよ。ロケの時も周りに観光客が多かったんですが、歓待されて、うれしかった。森次晃嗣さんは、今も『ウルトラセブン』の中の名台詞をしっかり覚えていますが、光太郎は『クソッ』とか『ヨシッ』とか短いものばかりで…(苦笑)。あとは『健一君!』とか(笑い)。ファンの方には申し訳ないのですが、『―タロウ』にも名台詞はあったとは思うんですが、残念ながら覚えていないんです」

 13年3月に亡くなった坂口良子が客演し、怪獣ガラキングとバレーボールをする第50話(怪獣サインはV)も名(迷?)シーンとして残っている。

 「ああ、ありました。『―タロウ』には結構、いろいろな方がゲストで出られていましたよね。後年、『鬼平犯科帳』という作品で尾美としのりさんと共演したんですが、子役時代、『―タロウ』に出ていたそうなんです。で、監督さんに怒られたとき、僕が励ましたらしい。『篠田さんに励まされたんですよ』と言われたんですが、『そんな事あったかなあ』と…(笑い)」

 【注1】第4話「大海亀怪獣 東京を襲う!」、第5話「親星子星 一番星」に登場。雌のクイントータスと東京に上陸、自分たちの卵を食べた人間を次々に襲う。その後、クインはタロウに倒され、キングは息子・ミニトータスを巨大化させて復讐(ふくしゅう)しようとする。タロウはクインの亡骸を宇宙に運び、キングとミニに後を追わせた。ウルトラセブンがウルトラの星へと導き、そこで復活したクイン共々、家族で暮らした。

 【注2】ファイル星人のペットで、腰に下げたひょうたんから酒を飲み、いつも酔っ払っていて、へべれけで地球に迷い込む。歌と踊りが大好きで、光太郎たちと踊りで勝負するシーンも。この時に流れていたのが、当時人気絶頂だった「フィンガー5」の「恋のダイヤル6700」。

 〇…今作では主要キャストの途中降板、交代が多かった。あさかまゆみは第16話で降板、第20話から小野恵子に代わったが、もともと13本に出演したら終了、との契約だった。また、ZATの西田隊員役の三ツ木清隆は第8話で宇宙ステーションに転任、その後任として上野隊員(西島明彦)が登場した。これは三ツ木の他のドラマのスケジュールが複数におよび、スケジュールが厳しくなったため。東野孝彦(後に英心)演じる荒垣副隊長も第51話で宇宙ステーションに赴任するが、これは東野がけがをして出演不能になったことによる。

 〇…円谷プロ公式サブスク「TSUBURAYA IMAGINATION」では、有料プランに登録すると「ウルトラマンタロウ」のほか、ウルトラマンシリーズ(一部をのぞく)がいつでも見放題となっている。ファン必読の読み物や、ここでしか見られない配信限定作品など、オリジナルコンテンツも満載。

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