北海道新ひだか町静内の北海道市場で1月25日、ジェイエス主催「冬季繁殖馬セール」が行われた。最強寒波が来ていた時で、日中でもマイナス12度を記録していた。この日は天気は良かったものの、落札された馬を写真撮影する場所では、地吹雪が起きる状況で大変だった。
上場頭数は25頭と、昨年より3頭多い程度。それでも、例年以上に活気に満ちたセールが展開された。売却総額は2億7329万円(金額はすべて税別)、売却率は92%を記録。08年から冬季開催が始まったが、初めて2億円を超え、売却率に関しては秋季開催も合わせて初の9割超えとなった。
最高額をマークしたのは、シゲルピンクダイヤ(牝7歳、父ダイワメジャー、母ムーンライトベイ)の1億5000万円で、仙波りり子氏が落札した。シゲルピンクダイヤの競走成績は中央1勝ながら、桜花賞でグランアレグリアの2着に食い込み、クロノジェネシスとダノンファンタジーに先着。秋華賞では、クロノジェネシスの3着に健闘。19年の牝馬3冠路線で上位争いを演じていた。半妹のシゲルピンクルビー(牝5歳、栗東・渡辺厩舎)は、昨年の報知杯フィリーズレビューを制すなど、牝系の優秀さも魅力。それに加え、初年度産駒から日本で2頭、オーストラリアでも2頭のG1馬が誕生しているモーリスを受胎。繁殖牝馬としての魅力が詰まったシゲルピンクダイヤがステージに登場すると、競り上がり方は非常に速く、繁殖馬セールで初の1億円超えとなった瞬間は、場内も騒然とした。
ジェイエスの大西恵介セールスマネジャーは「シゲルピンクダイヤは、競り前から問い合わせが非常に多かった1頭で、ある程度の金額に行くことは予想していましたが、非常に驚きました。数年前に比べますと、上場馬の質が高まっており、購買者を引きつける要因になっていることも、活発な競りにつながっていると感じています」と、セールを振り返った。冬季開催は、上場頭数の課題はつきまとうが、大西マネジャーは「今回の競り結果が良いアピールとなり、冬季に上場することを検討していただける購買者の方々が増えるかもしれませんし、引き続き我々も宣伝をしていきたいと思います」と話していた。
そして、オジュウチョウサンが1月23日、坂東牧場からヴェルサイユリゾートファームに移動したが、29日朝、報道陣向けに写真撮影の時間を設けていただいた。坂東牧場に到着した時は、水色のメンコを着用していたが、今回は素顔のオジュウチョウサンが凛とした姿でポーズを決めてくれた。馬産地ではいよいよ、本格的な種付けシーズンを迎える。来週は、各スタリオンで種牡馬展示会が実施される。その様子は今年も、当欄で書きつづっていく。(競馬ライター)