今年の第99回箱根駅伝(1月2、3日)に大会史上最長となる55年ぶりの“返り咲き”出場を果たし、18位となった立大の上野裕一郎監督が日本選手権クロスカントリー競走(2月26日、福岡・国営海の中道海浜公園)に出場登録したことが31日、分かった。全国都道府県対抗男子駅伝(22日、広島市)では優勝した長野県チームのアンカーを務めた「日本一速い監督」は、起伏が激しい不整地を走り、日本一タフなランナーを決めるレースで実業団、学生のトップランナーとガチンコ勝負に臨む。
上野監督は2018年12月に立大監督に就任し、選手と一緒に走るという独自のスタイルでチームを強化。昨年10月の箱根駅伝予選会で6位通過し、大会史上最長となる55年ぶりの復活出場に導いた。指揮官として戦った箱根駅伝から19日後には、全国都道府県対抗駅伝で現役監督ながら一競技者として優勝のゴールテープを切るという前代未聞の活躍を見せた。
破天荒な挑戦を続ける上野監督は、日本選手権クロスカントリー競走への参戦準備を進めている。同大会は、シニア男子10キロ、シニア女子8キロ、U20(20歳以下)男子8キロ、U20女子6キロが行われる。「U20男子(午後1時15分スタート)に出場する高校生の視察と勧誘が一番の目的です。その後、ついでにシニア男子10キロ(午後2時25分スタート)に出場を考えています」と上野監督は真面目な表情で明かした。
「ついで」と言いながらも「前半は抑えて、後半に上げて8位入賞くらいを目指したいですね」と笑顔を見せた。昨年11月の日体大長距離競技会5000メートルでは13分39秒95で日本人トップになるなど、37歳となった現在も高い走力を持つ。「学生を指導することで現役時代より心がアップデートされました」と充実した表情で話す。
55年ぶりの箱根駅伝を18位で終えた立大は、次のステップに向けて新チームが始動している。上野監督は2023年も立大ランナーと共に全力で走る。
◆上野 裕一郎(うえの・ゆういちろう)1985年7月29日、長野・佐久市生まれ。37歳。佐久長聖高入学と同時に本格的に陸上を始め、その年の12月、全国高校駅伝2区(3キロ)で8分16秒で区間賞を獲得。3年時には1万メートル28分27秒39の日本高校記録(当時)をマーク。2004年、中大に入学。箱根駅伝は1年1区19位、2年3区3位、3年3区1位、4年3区2位。08年に卒業し、エスビー食品に入社。09年ベルリン世界陸上5000メートルに出場(予選敗退)。13年、エスビー食品の廃部に伴いDeNAに移籍。18年12月に立大監督に就任。現在も選手と一緒に練習することも多く、学生レベルでトップクラスの走力を維持。「日本一速い監督」の異名を持つ。181センチ、61キロ。