ドルーリー朱瑛里3人抜き区間新…17人抜き15歳ニューヒロインに地元「神武以来」の大騒ぎ

スポーツ報知
快走する津山市・ドルーリー朱瑛里(カメラ・谷口 健二)

◆第12回「晴れの国岡山」駅伝競走大会(29日、旭川・百間川ランニングコース)

 陸上界の超新星が地元でも快走した。15日の全国都道府県対抗女子駅伝で、17人抜き&区間新の爆走を披露した中学3年のドルーリー朱瑛里(しぇり、15)=津山鶴山中=が29日、3年ぶりに開催された「晴れの国 岡山」駅伝で、津山市チームの3区(3キロ)に初出場。大会過去最多の観客や報道陣が詰めかける異例の注目の中、3人を抜く9分40秒の区間新記録をマーク。「優秀新人賞」に輝く大器ぶりも発揮した。(天候曇り、気温5・0度、湿度54%、西南西の風1・8メートル=スタート時)

 新ヒロインの凱旋ランに、多くの地元観客は沸き立った。ドルーリーは期待に応えるように、区間トップで駆け抜け、同2位に37秒差をつける快走。「雪であまり練習ができなかったんですけど、その中にしてはまずまずの結果。トップが見える位置で(タスキを)渡せたことがよかった」とうなずいた。

 調整は不十分でも、地力の高さを見せつけた。都道府県対抗女子駅伝後、全国的な大寒波の影響で岡山は約50センチの積雪。ジムのランニングマシンで軽いジョギングを中心に調整し、外で練習する機会はほとんどなかったという。しかしこの日、5位でタスキを受け取ると、3人を抜き去り2位へ浮上。84年ロス五輪女子マラソン代表の増田明美氏(59)を「完成されたフォーム」とうならせた力強い走りで、1分あったトップとの差も23秒まで縮めた。16年に倉敷一中の金光由樹(当時中3)がマークした9分50秒の区間記録を10秒の大幅更新。それでも「(走りの感触は)4割くらい。中間からペースが落ちて、後半も上げきれなかった」と反省を忘れなかった。

 スーパー中学生の走りをひと目見ようと、雪がちらつく寒さの中でも観客が沿道を埋めた。報道陣も多く集まり、大会関係者は「これは神武以来(日本の歴史が始まって以来、他に例がないことの意)…」と驚いた様子。周囲の喧騒(けんそう)の中、当の本人は「注目されすぎるのはあまり好きではないので、そういった面ではちょっと…」と苦笑した。しかし、大勢の大人相手に、最後まで真摯(しんし)に受け答えする姿はまさにヒロイン。チームも6位入賞を果たし、新型コロナウイルスで3年ぶりの開催となった、地元大会を大いに盛り上げた。

 今後は、2月5日の全国中学生クロスカントリー大会(滋賀)に出場予定。また「インターハイに出てしっかり活躍すること」と、新たな舞台での活躍も思い描いた。(瀬川 楓花)

 ◆全国都道府県対抗女子駅伝VTR 岡山県代表として、中学2、3年が対象の3キロ区間に出場した。38位でタスキを受けとったドルーリーは、大きなストライドで次々に選手をかわし、17人抜きを達成。13年の高松望ムセンビ(大阪薫英女学院中)、19年の南日向(葛飾中)の区間記録9分10秒を8秒更新する9分2秒の区間新記録もマーク。「8分台を出したかったんですが…。区間新は自信になるし、初めての大きな駅伝だったので楽しかったです」と愛くるしい笑顔で話し、一躍脚光を浴びた。

 ◆ドルーリー 朱瑛里(どるーりー・しぇり)2007年11月16日、岡山・津山市生まれ、15歳。小学4年生から津山ジュニア陸上競技教室で競技を始め、当初は短距離中心。地域のリレーマラソンで中長距離の適性を見いだされ、小学6年時に県大会800メートルで優勝。22年8月の全日本中学選手権女子1500メートルV。同10月のU16大会女子1000メートルで2分45秒84の大会記録をマーク。400メートルから3000メートルまでオールラウンドに出場し、目標は東京五輪代表の田中希実(豊田自動織機)。157センチ。

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