第95回記念センバツ高校野球大会(3月18日開幕、甲子園)の選考委員会が27日に開かれ、出場36校が決定した。北海道地区は昨年の秋季全道大会で連覇を果たしたクラークが2年連続2度目の出場を決めた。エース兼主将の新岡歩輝投手(2年)を中心とした堅守と肉体改造に着手した打線を武器に、創部9年目での聖地初勝利を目指す。
日本屈指の豪雪地・深川に今年も春の便りが届いた。クラークが2年連続でセンバツ切符を獲得。氷点下6度、大雪が積もる中、ナイン全員に笑顔が咲いた。前任の駒大岩見沢(14年廃校)時代も含め自身10度目のセンバツとなる佐々木啓司監督(66)は「2年連続出場は非常に栄誉。北海道の(他の)チームの気持ちも乗せて昨年できなかった初戦突破を目指したい」と胸を張った。
V2を飾った昨秋はエース右腕・新岡がフル回転。横手や下手など変幻自在のフォームからスライダー、シンカーなど7球種を操り、全道初戦から4戦連続の完投勝利で頂点に導いた。計35回で防御率0・26と抜群の安定感を誇った主将は「すごくうれしい。監督さんに3元号勝利をプレゼントします」と腕をまくった。
屈辱を力に変えている。昨年11月の明治神宮大会は優勝した大阪桐蔭に初戦で2―12の6回コールド負け。技術以前に体格差に圧倒された。今冬は打撃練習間にウェートトレを組み込むなど徹底した肉体改造に着手。クリーンアップを担う新岡、麻原草太、中村光琉(ともに2年)の全員が神宮大会から3キロ以上増量するなど、全国レベルの投手に対応できるスイングスピードとパワーを身につけ始めている。「久しぶりに試合用ユニホーム姿を見たけどズボンがパツパツだね。真面目にやっていた証し」と指揮官。手がかじかむ中、1日4時間の打ち込みを継続してきた。
大黒柱の新岡は「もう一度大阪桐蔭と対戦できるなら攻めていく。次は抑えられる」と投手としての意地ものぞかせた。29日からは三重県と愛知県で10日間の合宿を敢行。屋外でのプレー、土のグラウンドの感覚を養っていく。創部初の聖地1勝、史上2人目となる佐々木監督の昭和、平成、令和の3元号勝利も懸かる。「やってきたことに自信を持って立ち向かっていくだけ。春が楽しみです」と主将。切符はつかんだ。あとは歴史を動かすだけだ。(堀内 啓太)