NBA、ウィザーズの八村塁(24)がトレードでレイカーズに移籍することを両チームが23日、発表した。2019年に日本人初のドラフト1巡目指名を受けた八村は4季目で初の移籍。NBA最多タイの優勝17回、屈指の人気を誇る名門で憧れのスーパースター、レブロン・ジェームズ(38)と同僚となり、さらなる飛躍を目指す。スポーツ報知評論家の佐々木クリス氏(元プロバスケットボール選手、アナリスト)が、電撃トレードを解説し、新天地での活躍に期待した。
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2019年にドラフト1巡目指名を受けた以来のビッグニュースが舞い込んできた。レイカーズは今季、フォワードが手薄で、同時に3人のガードを起用したり、本来パワーフォワードのレブロン・ジェームズがセンターをやらざるを得なかったりと、それぞれをベストポジションに置くことができない状況になることがあった。
そして大きな課題の一つが得点力。ジェームズ、アンソニー・デイビス、ラッセル・ウエストブルックと3人のスターがいるものの、100回攻めた時の得点力は現在、リーグ全体で15位。またスリーポイントの成功率は同最下位にいる。そこに身長203センチの八村選手がトレードで加入し、フォワードの層を確実に補強。主に得点力の部分に期待を込めての獲得だろう。
先発での出場可能性もあり、その中で八村選手に求められる役割は2つあると見ている。1つは、ジェームズ、デイビスをうまくフォローできる3&D(3Pと守備でチームに貢献するプレーヤー)に磨きをかけること。そのためには、まだまだスリーポイントの精度は証明していかなければいけない。
もう1つは、ウエストブルックらとのセカンドユニット(先発の次に出場するメンバー)として出場する時間帯は、チームの得点源となることだ。ウエストブルックは元チームメートであり、八村も「先輩」と慕う存在。ウィザーズ時代に、八村選手が一番アシストをもらっていた選手こそがウエストブルック(121回)であり、相性も良い。当時は「先輩」から愛のムチを受けることも多く、選手として素晴らしいお手本だった。このコンビの復活は非常に楽しみだ。
レイカーズは、優勝17回を誇るNBA屈指のビッグクラブで「優勝以外は失敗」と言われる。MLBで言えばヤンキース、ドジャース。サッカーだとレアル・マドリードやバルセロナのようなチームだ。ファンの熱量もすさまじく、その反面、少しでも足を引っ張れば味方にも大ブーイングが起こる。成長の大きなチャンスである一方、心をたくましく鍛えていかなければならない。八村選手は4季目にしてすでにNBAで10年以上長くプレー出来るポテンシャルがあることを示してきた。レイカーズでは、10年以上トップで活躍できるために必要な力を磨き、証明してほしい。(元プロバスケットボール選手、アナリスト=近著『NBAバスケ超分析』)