エンゼルス売却中止で大谷翔平の去就に及ぼす影響を担当記者が占う…チーム低迷なら夏トレードも

去就が注目される大谷
去就が注目される大谷

 エンゼルスは23日(日本時間24日)、球団売却を検討する手続きを中止すると発表した。2003年から球団を保有してきたアルトゥーロ・モレノ・オーナー(76)は、昨年8月に売却の意向を示していたが今季以降も保有を続けることが決まった。今季終了後にフリーエージェント(FA)となる大谷翔平投手(28)の去就に及ぼす影響を、メジャー担当の安藤宏太記者が占った。

 米国内でも、エンゼルスの球団売却中止は、大谷の去就と結びつけられている。ニューヨークポスト(電子版)が「モレノは大谷との契約が迫る中、売却を中止」という見出しで報じれば、米人気スポーツ誌「スポーツ・イラストレイテッド」は「大谷を引き留めて長期契約するのには苦労するかもしれない」と占った。

 昨年10月に1年3000万ドル(約43億5000万円=当時のレート)の契約を結び、今季終了後にFAとなる大谷。エンゼルスがシーズン終了までに再契約を結べなかった場合、メジャー史上初めて5億ドル(約650億円)を超える規模での争奪戦となる可能性が高いとされている。仮に資金力豊富な新オーナーが就任すれば、大谷との再契約に全力を注ぎ、残留へ一気に傾いた可能性もある。実際に20年10月に大富豪のコーエン氏が買収したメッツはシャーザー、バーランダー、千賀らを獲得。資金力を生かして戦力を整えた。

 だが、モレノオーナーの“続投”によって、移籍の可能性も増したと言えるのではないか。本来であれば、FAになる前年の今季から複数年契約を結ぶチャンスが唯一エンゼルスにはあった。だが、球団売却騒動で大型契約は難しく、単年契約。さらに、トラウトは30年、レンドンは26年まで大型契約を残し、課徴金(ぜいたく税)の支払いに否定的とされるモレノオーナーにとって大谷との再契約は難しい選択になるはずだ。

 このオフ、エ軍は昨季15勝のアンダーソン、ウルシェラ、29本塁打のレンフローらを補強。だが、今季目指す9年ぶりのプレーオフ進出へ十分な陣容になったとは言いがたく、若手を起用して再建に向かう様子もない。一方で同地区のレンジャーズは18、19年のサイヤング賞右腕デグロム、150キロ超の剛腕イオバルディらを補強し、一気に戦力を整えた。22年にプレーオフに進出したアストロズ、マリナーズも大きな戦力ダウンはなし。大谷、トラウトの2本柱を中心に飛躍を狙うが、早々に低迷した場合はシーズン中のトレードも現実的になる。

 大谷には残留、シーズン中のトレード移籍、シーズン後のFAで移籍と3つの道しかない。現時点では結論が先延ばしになっただけと言わざるを得ないが、ドタバタ劇に巻き込まれた大谷の残留の可能性が高まったとだけは言えないはずだ。(メジャー担当・安藤 宏太)

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